高大連携の本来の目的は「共に学び合う」こと
近年、高校と大学が協定を結ぶ「高大連携」に注目が集まっている。「高大連携」とは、もともとは大学とその付属校間を中心に行われてきた。これらの高校に通う生徒たちの多くは、そのまま内部進学するため、高校生のうちから大学の講義を聴けたり、その大学に通う大学生と交流を深められたりと、一足先に大学生気分を味わうことができた。また、学校側も学部選択のミスマッチを防ぐことができた。このように、高大連携の目的は、大学と高校が共に協力を図りながら出会いの場を作り、「学び合う」ことだった。
しかし、昨今注目されている「高大連携」は、それとは少し中身が異なる。まず、付属高校との連携とは別に、いろいろな大学がいろいろな高校と手を組み始めた。例えば立教大学は付属校に立教池袋と立教新座があるが、それとは別に香蘭女学校と高大連携を協定している。それによって香蘭女学校の偏差値が急激に上がった。また、最近では同じく付属校を持つ法政大学が三輪田学園と高大連携を結び話題を呼んだ。両校がどのような経緯で連携を結んだかは分からないが、校舎が道を挟んだ向かいにあるという立地も関係しているのではないだろうか。
「高大連携」は1校のみとは限らない。青山学院大学や上智大学などは、同じキリスト教に基づく学校として複数の中高一貫校と高大連携を進めている。
ではなぜ今、「高大連携」が急速に進んでいるのか?
その理由は、本来の目的であった「共に学び合う」とは、実は違うところにある。
大学側のメリット「早い段階で質のいい生徒を確保できる」
一番の目的は、生徒確保だ。今の時代、ほとんどの子供が大学へ進学しているが、少子化の影響で高校生・大学生の数は減少の一途をたどっている。大学にとっては、多くの学生を集めることが、経営にそのままつながってくるので、どの大学も生徒確保に必死だ。そして、できれば早い段階で、質の高い生徒を手に入れておきたいと始まったのが、昨今の「高大連携」なのである。
高大連携は高校生のうちから大学の専門的な講義を聴けたり、大学側も各学部の内容の理解を促す場を提供できたりと「お互いを知れる」というメリットはもちろんあるが、それ以上に魅力なのは必然的に指定校推薦の枠が得られることだ。
ただ、大学付属校と大きく違うのは、その枠が少ないこと。例えば上智大学では複数の学校と高大連携を組んでいるが、学校にとっては推薦枠が3人しかないところもある。こうした推薦枠が取れる子というのは、校内でも優秀な生徒であることが鉄則。平均評定の高い順からその権利を得られるため、どれか1つの教科が抜きんでているよりも、すべての教科において優秀な成績を収めているバランスのいい子、授業態度の素晴らしい子が選ばれる形になる。つまり、大学側からすれば、早い段階で質のいい生徒を確保できるというメリットがあるわけだ。