2025年1月に実施される大学入学共通テストから、試験内容が大きく様変わりする。教育ジャーナリストの清水克彦さんは「一般入試以外にも、志望校に合格するルートはある。中でも、総合型選抜入試(旧AO入試)は実際の学力より上の大学を狙える」という――。

※本稿は、清水克彦『2025年大学入試大改革 求められる「学力」をどう身につけるか』(平凡社新書)の一部を再編集したものです。

早稲田大学と慶應義塾大学
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どのルートで山頂を目指すか

保護者にとって、子育てのゴールは「少しでも難易度の高い大学に合格させること」ではない。それはあくまで通過点に過ぎない。

言うまでもなく、大学入試の結果はどうあれ、社会に出て自立できる子ども、自分の頭で考え、判断し、周りと協調しながら行動したり、自分の考えをきちんと表現できる子どもに育てることがゴールだ。

とはいえ、大学進学率が5割をゆうに超える今、保護者からすれば、「子どもがどの大学に進学するか」は大きな山だ。箱根駅伝にたとえれば、最終10区での目標が自立とすれば、大学入試は上りの5区のようなものだ。

ただ、そのルートは、箱根駅伝とは違い、いくつも用意されている。子どもの中で受験したい大学が見えてきた段階で、親子一緒に、どのルートを走るのがベストかを検討することをおすすめしたい。

いくつかルートを挙げてみよう。

総合型選抜入試は下剋上を起こしやすい

◇志望する大学に入学するまでのルート

○一般入試で受験=通常の入試パターン。大学の難易度に見合う学力が問われるが、強化方法が従来通りのため対策が立てやすい。その反面、予備校代のほか、複数の大学を受験するための受験料や旅費がかさむ

○指定校推薦入試で受験=高校での高い評定平均値が必要。早慶などの場合、校内選考が熾烈。出願すればほぼ合格できるが、他大学との併願はできない。国立大学にはこの制度がない

○学校推薦型選抜入試で受験=同じく高校での高い評定平均値、課外活動での実績が重視される。学校長から推薦される形だが、人気の大学・学部では高い競争率になるため「出願=ほぼ合格」とはいかない

○総合型選抜入試(自己推薦含む)で受験=「一芸入試」と呼ばれた時代とは異なり、小論文やグループディスカッションなどで学力を測るため、一般入試とは別の対策が必須。ただ、ランクが上の大学に合格する下剋上は起こしやすい

○帰国生入試で受験=海外留学期間が大学側の条件に合致しているかを確認する必要がある。高い語学力が求められるほか、高校時代、日本の教育を受けていないため、国語や地理・歴史などの自己学習が必要になる

○付属校からの進学=ほぼ全員、系列の大学に進学できる高校と、数割程度しか進学できない高校があるため、進学条件を確認しておく必要がある。ほぼ全員が進学できる場合でも、人気学部へは成績上位者しか進めない