親は子どもの受験をどうやってサポートすればいいのか。教育ジャーナリストの清水克彦さんは「私立は国立より下、総合型選抜入試は一般入試より劣る、といった古くさい価値観を持った保護者が令和の時代にも存在している。保護者の世代の価値観を押しつけない『進路リテラシー』を持ってほしい」という――。

※本稿は、清水克彦『2025年大学入試大改革 求められる「学力」をどう身につけるか』(平凡社新書)の一部を再編集したものです。

教室で授業を受ける学生たち
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受験生の「最大の敵」は学校の進学指導

「通っている高校は、県内で一、二を争う進学校。ライバルの県立高校と『国公立大学に何人合格させたか』を競っているので、早慶志望の自分に、地元や近県の国立大学を勧めてくる」
「うちの高校は『自称進学校』で、国公立大学への合格者を増やそうとしているので、国公立大学を第一志望にしないと、進路相談でろくに話を聞いてもらえない」

これらは、筆者の教え子たちから毎年のように聞かされる言葉である。

国公立大学か、それとも私立大学か、という問いの答えは、各家庭の事情や子どもの将来の夢にもよるので一概には言えない。

ただ、家計的に許容範囲で、なおかつ、子どもの夢が、地方の国公立大学に進学するよりも東京の私立大学に通ったほうが叶えやすいものだとすれば、高校側の進路指導は間違っていると言うほかない。

こういうケースは、各地の県庁所在地や第二の都市に多く存在する、地域屈指の進学校と称されてきた公立高、そして、埼玉や千葉、神奈川といった首都圏近郊の伝統ある公立高、あるいは、京都大学、大阪大学、それに神戸大学といった難関国立大学が近くにある関西圏の国公立高や私立高で生じやすい。

「早慶よりも地方国公立大学のほうが上」?

◇高校で生じやすい進路指導の「罠」

○総合型選抜入試で難関の私立大学を受験したいという子どもに、国公立大学受験を迫る。「総合型で出願するなら調査書は一通しか書かない」などと言われるケースもある

○「特進クラス」や「選抜クラス」の子どもには指定校推薦や学校推薦型選抜入試を受けさせず、一般入試で難関大学に挑戦させる

○「早慶よりも地方国立大学のほうが上」だと指導する(※上か下かの判断は子どもの志向などによるが……)

○生徒全員に大学入学共通テストを受験させる

○大学入学共通テストの点数が良かった場合、国立大学の前期日程だけでなく、後期日程でも受験させ、国立大学合格者数を水増ししようとする

○大学を併設している私立の中高一貫校の場合、外部受験(他大学受験)に何らかの制約を設ける(第1回参照)

このような指導が当たり前のように繰り返されているのだ。