保護者に持ってほしい「進路リテラシー」
筆者が考える保護者の「進路リテラシー」とは次のようなものだ。
○子どもが強い意思を持っていれば、それを尊重する
○子どもが強い意思を持っていない場合、「この子はどういう方面が向いているのだろうか」と、これまでの志向や得意分野などから考えてみる
○子どもがオールラウンダーかスペシャリストかを見極める。オールラウンダーなら国公立大学、スペシャリスト(英語だけ強い、文章力がある、弁が立つなど)なら私立大学を総合型選抜入試で、という作戦が成り立つ。どちらでもない場合も、じっくり考えれば方向性は見えてくる
○世の中の動きから、10年先、20年先の地域や日本全体、場合によっては世界の情勢を想像し、子どもの進路相談に真摯に向き合う
○大都市圏と地方、国公立、私立を問わずどの大学も特徴があり、小規模な大学でも「就職に強い」や「面倒見が良い」、あるいは「資格が取れる」などの利点があることを把握する
○世間体を必要以上に気にせず、保護者の世代の価値観を押しつけない
二番目の敵は保護者の「古くさい価値観」
私立大学、それも大都市圏にある私立大学に一人暮らしをさせるような場合、家計との兼ね合いも不可欠になるが、それを除けば、これらの点に配慮していただけたら、と思う。
筆者の教え子の中には、父親から
「県内一の進学校から早稲田は恥ずかしい。それも一般入試ではなく総合型選抜入試で? あれは一芸入試だろ? どうしても行くと言うのなら勝手にやりなさい」
「慶應なんてお坊ちゃん学校、お金をドブに捨てるようなものだ。国立大学に行かないなら学費は出さない。旧一期校の国立に行きなさい」
などと言われた子どもが存在する。昭和の時代ならともかく、現在は平成も通り越して令和の時代である。
私立は国立より下、総合型選抜入試は一般入試より劣る、同じ国立大学でも、旧一期校(旧帝大や一橋大学、神戸大学など)は旧二期校(横浜国立大学や東京外国語大学など)より上、などという「古くさい価値観」がまだ存在していることは、正直なところ驚きでしかない。