高大連携だけをアテにして中学を選ばない方がいい

それともう一つ注意点がある。昨今、急速に増えている高大連携だが、この関係は付属校のように永遠に続く保証はない。双方にメリットはあるとはいえ、どちらの力が強いかといえば、やはり受け入れる側の大学の方が強くなる。

ある高校に推薦枠を設けたものの、その制度を使って進学した生徒が、大学に入ってから成績不振になって留年をしたり、退学をしたりといったことが続くと、その高校の推薦枠が減ったり、もしくは消滅してしまったりすることもあり得る。だからこそ、高校側もちゃんとした生徒を送り出すことに必死なのだ。でも、卒業後、どんな大学生活を送るかは分からない。ただ、母校の後輩のために頑張るという人は、まずいないだろう。つまり、いつ状況が変わるか分からない危うさも持ち合わせているのだ。だから、これだけをアテにして中学受験校を選択しない方がいいだろう。

指定校推薦との違いは「学び合いの場」

ここまで読んで「?」と思った人はいないだろうか。そう、「だったら、高大連携と指定校推薦の違いは何?」という疑問が浮かんだはずだ。提携を結んでいる大学の「推薦枠」を持っているという点は同じだからだ。だが、指定校推薦の場合は、推薦枠が設けられているだけで、大学と高校の双方の間で、学び合いの場は設けられていない。

私は「高大連携」の良さは、本来の目的である「学び合い」ができる点にあると思っている。高校生にとって大学進学は大きな目標ではあるけれど、実はそこがどんなところなのか、自分は何を学び、何になりたいのかイメージが湧かないまま、受験勉強をしている人は少なくない。そんな高校生に「大学ではこういうことを学ぶんだよ」「入試は理系と文系とに分かれるけれど、文系でも理系の知識は必要になるんだよ」「ひとくちに工学部といっても、こんなにたくさんの分野があるんだよ」といったことを知ってもらう。そこに大きな意味があるのだ。

屋外でノートパソコンを使って勉強する、日本の若い大学生のグループ
写真=iStock.com/recep-bg
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連携している大学を目指すかどうかは別として、高校生の早い段階で「大学について知ることができる」ということが大きく、自分の将来進む道を考えるきっかけになることが最大のメリットなのだ。「お得感」がばかりが話題になりがちな高大連携だが、本来の目的を正しく知ることが、実はとても大事なことだと感じている。

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