「自己肯定感の低下」と「勉強疲れ」
小学校低学年までは楽しそうに勉強に取り組んでいたのに、中学受験の勉強が始まると、勉強を嫌がるようになった。どこの家庭でも大なり小なりこの悩みに直面するだろう。では、なぜ勉強を嫌がるようになるのか――。主な要因として、次の2つが挙げられる。
成績不振による「自己肯定感の低下」と、積み重なる「勉強疲れ」だ。
一般的に中学受験の勉強は、小学3年生の2月からスタートする。中学受験に挑戦する子供たちというのは、小学校のクラスでは「勉強がデキる子」がほとんどで、「自分は他の子とは違うんだ」と勉強に対して自信を持っていることが多い。ところが、進学塾に通うようになると、自分よりももっとデキる子がいることを知る。また、テストでは偏差値というシビアな数字が出る。
「偏差値50」にショックを受ける親の姿を見て…
当たり前のことだが、難関中学を目指す子たちが集まる進学塾は、そもそも母集団の学力が高いので、その中で高偏差値を叩き出すことは容易ではない。こうした中、まだ塾のテストにも慣れていないこの時期に、偏差値50が取れれば、まずまずのスタートだ。そこから、「塾の授業をしっかり聞く」「なぜそうなるのか納得感を持って理解する」といった正しい勉強の仕方を身に付けていけば、徐々に成績は上がっていくだろう。むやみに心配する必要はない。
ところが、その「50」という数字だけを見て、まず親がショックを受ける。そして、「うちの子はデキると思っていたのに、偏差値50だなんてありえない。もっと頑張らせなければ!」と血相を変え、たくさんの勉強を強いるようになる。そんな親の異変を見て、「まずい、お母さんをがっかりさせてしまった」という申し訳なさと、これまで自分はデキる子だと思っていた自信が大きく崩れ、スタート時点で負け戦と感じてしまい、自己肯定感が下がってしまう子も少なくない。これが、子供を勉強嫌いにしてしまう第一歩だ。