武蔵の入試問題は3年前から易化が進んでいる

武蔵中の入試問題も3年前からだいぶ易しくなってきている。武蔵中は近年、ホームページの中身も変わり、かつての武蔵らしさが薄れてきているように感じる。以前のホームページには昭和時代を思わせるような古めかしさがあり、開設以来武蔵中が大事にしてきた「観察」についての説明が、ノスタルジックな写真とともに載せられていた。それが武蔵の理科入試の特徴である「おみやげ問題」につながっていった。そんなストーリーが紹介されていたのだが、それがすっぽりなくなって、今風のホームページに変わってしまったのだ。

これを見て、「どうやら武蔵は取りたい生徒像が変わってきたのだな」と思った。御三家の一つである武蔵中だが、近年は東大合格者数も少なく、「御三家に入れていいのか?」という声もちらほら聞く。やはり、学校側もこのままではマズいと思ったのかもしれない。以前は、武蔵の授業を面白がって聞けるような、好奇心旺盛な子が楽しめる入試問題だったが、近ごろは一般的な問題が多い。

東京大学大講堂
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女子学院と豊島岡女子の算数が急激に難化

一方、女子難関校である女子学院中学校と豊島岡女子中学校は、今年算数入試が急激に難しくなった。というよりは、これまで偏差値の高さの割に入試問題が易しかったので、偏差値同等のレベルに上げてきたといったほうがいいかもしれない。以前は、この学校レベルを受ける受験生にとってはさほど難しくない一般的な問題を、素早く正確に解く処理能力が求められていたが、今年の入試はスピードと正確性だけではなく、思考力が必要な応用問題が盛り込まれるようになった。近年変わりつつある大学入試の問題を意識した内容になったとも言える。とはいえ、内容としては塾の授業範囲に留まっているので、対策はしやすい。

共学校でいえば、渋谷教育学園渋谷中学校の算数入試が極端に易しくなった。渋谷中といえば試行錯誤系の問題を出すことで知られているが、それが今年の入試では見当たらなかった。このようにひとくちに中学受験といっても、各校の入試問題の変化はさまざまなのだ。だから安易にメディアが提示する答えを信じないほうがいい。大事なのはそれぞれの学校の変化を読み解くことだ。