※本稿は、桑原晃弥『藤井聡太の名言』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
大谷翔平と藤井聡太の共通点「眠りへの執念」
第5回WBCでMVPを獲得、日本代表チームの優勝に貢献した大谷翔平は「寝るのは得意」と言い切るほどに眠ることに強いこだわりを持っています。
日本ハム時代もメジャーリーグでも外食などに出かけることはほとんどなく、試合以外はトレーニングと寝ることに時間を使うというほどですから、いかに睡眠を大切にしているかがよく分かりますが、それは子ども時代からの習慣のようで、父親の車の中でも寝ていたし、昼寝などもよくしていたといいます。
「寝る子は育つ」といいますが、大谷にとって睡眠は圧巻のパフォーマンスに欠かせないものなのです。藤井聡太は多くのタイトルを保持するだけに、大変忙しい日々を送っているわけですが、やはり眠ることにはこだわっています。
とはいえ、対局で負けた時などは、その日の将棋のことを考えてしまうといいますが、だからこそ眠るようにしています。こう話しています。
「対局後は、やはりその日指した将棋のことを考えてしまうこともあるんですが、今は、悔しい時には、まず寝ることがいちばんかなと思っています。なかなか寝付けないこともあるのですが、負けた後でも一晩寝ると、けっこう気持ちが楽になります」
棋士の中には対局で敗れると、その日のうちに反省をして、あとは寝て忘れてしまうという人もいますが、藤井は負けて悔しい時は、まず先に寝て、気持ちがすっきりした翌日に反省点を考えるようにするといいます。
そして睡眠時間としては、「7時間半から8時間」くらいはとるようにしています。タイトルのかかった対局ともなると、なかには緊張のあまり眠れなくなる人もいるようですが、藤井の場合は「対局前でも7時間、十分寝ています」と言いますから、それほどプレッシャーを感じないタイプなのかもしれません。
そんな藤井でも少し苦手にしているのが対局後、特に2日制の場合です。名人戦などは2日制で行われるだけに、1日目の封じ手の後、対局が行われたホテルや旅館で宿泊することになりますが、藤井によると、「1日目の夜は対局の前より眠れないことが多い」と言います。
そしてそれも「自分として課題」と言うところに、今後、幾度ものタイトル戦を戦う棋士としての自覚が現れています。大谷もそうですが、長丁場を戦う者にとって質の高い睡眠は良いパフォーマンスに欠かせない要素の一つです。
★ワンポイント 良いパフォーマンスのために質の高い睡眠を心がける。