ゴルフの上達にはなにが大事なのか。理学療法士の笹川大瑛さんは「“棒状のもの”を振るときは、手首の機能が重要な役割を果たしている。手首を鍛えればクラブをしっかり固定し、イメージ通りの動きができるようになる」という――。

※本稿は、笹川大瑛『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

ゴルフ
写真=iStock.com/Matt_Brown
※写真はイメージです

「振る」だけで手首は複雑な動作をしている

バット・クラブ・ラケットなどの“棒状のもの”を両手で持って振るとき、手首はかなり複雑な動きをしています。「右打ち」の人の右手なら、①振り出しからインパクトまでは「手のひらを上に向ける動き」、②インパクトの瞬間は固定&安定、③その直後からフォロースルーでは「手のひらを下に向ける動き」をしています。しかも、このときの左手のほうは、同時に正反対の動きをしています。

このときに使われているのが、橈側手根屈筋とうそくしゅこんくっきん尺側手根屈筋しゃくそくしゅこんくっきんです。前腕には、ひじから手首の範囲に「2本の長い骨」があります。それらのうち、外側(親指側)にある長い骨が橈骨とうこつです。そして、その橈骨に沿うように伸びているのが「橈側手根屈筋」という筋肉で、手首・指の親指側を支えています。

また、前腕にある「2本の長い骨」のうち、橈側手根屈筋とは反対、つまり内側(小指側)には尺骨しゃっこつという長い骨があり、その尺骨に沿うように伸びているのが「尺側手根屈筋」です。こちらは、手首・指の小指側を支えています。

スイングの流れが改善する

橈側手根屈筋は、手首の安定はもちろん、右手の手首を内向き(反時計回り)にひねる(下に向ける)動作をする際にも働く筋肉です。そのため、きちんとトレーニングすると、上記したスイングの流れでの「右手の②と③」「左手の①と②」の動きの質が必然的に向上し、ひじに余計な負荷をかけずにも済むのです。

笹川大瑛『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)
笹川大瑛『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)

橈側手根屈筋の主な機能は、つまむ・挟む・つかむなどの親指と人差し指の「ピンチ動作」、手のひらを下に向けるといった手首から前腕の「回内」、手首を曲げる「掌屈」です。

この筋力を高めるメリットは、

・テニスのトップスピンショット・ゴルフのドローショットの質が向上
・ひじの外側の痛み(テニスひじ)やケガの予防・改善に有効
・手首から前腕を「内側(親指側)にひねる」「固定する」力が向上
・打撃時のミート、テニスのフォアハンドの強さ・正確性が増す