手首を鍛える「10秒トレーニング」

上記でご説明したメカニズムによって、振る力&ボールを打つ力は当然強くなり、正確性も高くなります。特に、橈側手根屈筋が右手の手首を内向き(反時計回り)にひねる(下に向ける)ときにメインで働く筋肉であることを考えると、テニスのフォアハンドで打ち返すときなどに、相手からのボールの勢いに負けず、さらに従来以上のクオリティーのトップスピン系のショットを生み出しやすくなります。

また、野球のバッティングでもボールに押し込まれにくくなり、ゴルフならドローショットの質が上がりやすくなります。

「こうやって振りたい、打ちたい」と考えていた動きをそのまま実現でき、これまでよりワンランク上のパワーと正確性、ボールの回転などを生み出せる状態になるわけです。

手首・指の内側(親指側)を支える力を効率的にアップし、「打ち負けないスイング」を獲得する!

1.脇を締めて手を「グー」にする
肩幅程度に両脚を開き、右の脇を締めながら、手を「グー」の形にする。特に親指、人差し指、中指を強く握る。

2.手首を真下に曲げる
手首を手のひら側に向けて真下に曲げ、その状態を10秒間キープ。左腕でも、同様にトレーニングする。

指周りを鍛えればひじのケガ予防にも

振力をいっそう高めるには、指周りのサボリ筋「尺側手根屈筋」のトレーニングも欠かせません。尺側手根屈筋の主な機能は橈側手根屈筋と近いですが、こちらは手のひらを上に向ける「回外」を強くすることができます。

この筋力を高めるメリットは、

・手首を「外側(小指側)にひねる」「固定する」力が高まる
・ひじの内側の痛み(野球ひじ・ゴルフひじ)やケガの予防・改善に有効
・ゴルフクラブ・バット・ラケットを握る力、握力が高まる
・打撃時の引き手、ゴルフショットのフォロースルーの質向上
・ゴルフのフェードショット、テニスのスライス&カット系ショットの質が向上

尺側手根屈筋のほうは、手首の安定はもちろん、右手の手首を外向き(時計回り)にひねる(上に向ける)動作の際にメインで働く筋肉です。そのため、きちんとトレーニングすれば、上の写真のような両手でのバックハンドを打つ場合に、「振り出しからインパクトまでは左手」「インパクト直後からフォロースルーでは右手」の尺側手根屈筋がきちんと機能し、インパクトの瞬間は2つの筋肉で手首をしっかり固定できるようになります。

同じ体勢でシングルハンドで打つと、インパクトの瞬間と、その直後からフォロースルーのパワー&質の向上が実感しやすいでしょう。