「惜しかった」とは言えないイングランド戦
覚えているだろうか?
4年前の今ごろ、日本はラグビーW杯に沸いていたことを。
「にわかファン」が日本中に増殖し、わけもわからず「ジャッカル」を使い、年末には「ONE TEAM」が流行語大賞に選ばれたことを。
9月9日(日本時間)に開幕したラグビーW杯で、日本代表は、1次リーグD組の2試合を終えて1勝1敗と、決勝トーナメント進出に希望をつないでいる。
日本代表は、18日早朝(日本時間)のイングランド戦に「大一番」と気合を入れていた。
イングランドは世界ランキング6位、日本は14位と、レベルの差はあったものの、前回大会では当時1位だったアイルランドを、前々回にも同3位だった南アフリカを、それぞれ撃破しており、期待が高まっていた。
結果は12対34、さらに4トライ以上で与えられるボーナスポイントも献上しており、「惜しかった」とは言えない。
まずは次のサモア戦に勝たなければ、決勝トーナメントには進めない。
日本のスクラムは世界トップレベル
イングランド戦では、相手の強力なスクラムに対して、まったく負けなかった。高く評価されよう。
フォワードと呼ばれるスクラムを組む8名については、先発メンバーの総重量がイングランドの909キログラムに対して日本は892キログラム、ひとり平均で113.6キロに対し111.5キロと、軽い。
さらに、身長2メートルを超える選手が2人もいるため、スクラムを押す際には、体重に加えて重力がかかる。
しかし、日本のスクラム成功率は85.7%(自チームボール7回のうち6回成功)、イングランドの81.8%を上回った。
数字だけではない。
イングランドがスクラムを慎重に仕掛けてきた様子を見ても、スクラムは通用するどころか、相手を恐れさせたのである。
日本はスクラムで2回ペナルティー(反則)を取られたとはいえ、いずれも微妙な判定であり、前回大会に続き、世界に通用する姿を見せてくれた。
これまでにも「日本選手は体格で劣る」と言われてきたし、今回のイングランド戦を前にしても、どれだけスクラムで耐えられるのか、といった論調が多かったように見える。
結果は、どうだったか。
上に示した数字があらわしているように、体重が少なくても、身長が高くなくても、つまり、体格で劣るとしても、十二分に世界トップレベルだった。
前後半40分ずつ合計80分のうち56分までは、1点差(12-13)で肉薄していた。体格差をものともしない、戦術と戦略、選手たち個々の能力、何よりもチームとしての一体感の賜物にほかならない。
56分までは、今大会のチームスローガン=OUR TEAMを地で行く戦いだった。