「日本らしさ」を信じてほしい
もはやスクラムが日本の得意技であり、お家芸と言っても良い。
だからこそ、ここで改めて、もともとの日本らしさに立ち戻ってほしい。
敵陣だけではなく、攻め込まれた自陣からでも常にボールを回して走り続ける、そんな日本らしさは、弱かった時代にも世界中から高く評価されてきたのではないか。
28年前のW杯でニュージーランドに145点もの失点で歴史的大敗を喫した時ですら、日本はいつも走り回るから、世界から一目置かれてきたのではないか。
バックス陣には、さらなる強みも加わった。
ベテランで、フルバックとして長い距離のキックの名手、山中亮平(35歳)である。
イングランド戦の開始直後に負傷し、チームからの離脱を余儀なくされたセミシ・マシレワに代わり、8月の代表選考では外れていた山中が急遽呼ばれる。
前回大会には全試合に出場し、最後列の守りの砦として、チームの危機を幾度も救った彼の加入は、課題であるバックス陣にとって、大きな戦力アップにつながる。
イングランド戦で多用したキックを、どこまでサモア戦でも使うのか。コーチ陣や選手たちの手ごたえにも左右されよう。
サモア戦では山中はスタメンからもベンチからも外れたものの、今後の期待は大きい。
重要なのは、山中がキックだけではなく、自分で積極的にボールを持って前に進もうとする意思とテクニックを持っているところにある。
強みとなり自信を深めたスクラムに、日本本来のバックスの動きが重なれば、サモアを退けるのは、十分すぎるほど実現可能なのである。
前回大会の大成功を受けて、早くも2035年には再び日本での開催が噂されるだけに、今大会でも、一層の活躍を期待するしかない。