イングランド戦で見えてきた課題

では、なぜそのあと、一気に突き放されたのだろうか?

15人で戦うラグビーのうち8人は互角以上だったのだが、残り7人で負けていたからである。

日本人は、体は大きくない反面、敏捷性(すばしこさ)に秀でている。サッカーでもしばしば言われることである。

ただ、サッカー日本代表を見てもわかるように、点を取る選手の体が小さいかと言えば、決してそんなことはない。

当たり負けしないフィジカルを鍛えているからこそ、あれだけ大勢の選手たちが、ヨーロッパリーグでも活躍している。

ラグビーもまた、実は、よく走り、点を取る役割を担う選手たち=残り7人のバックスたちこそ、体の強さが求められる。

イングランド戦では、ここが弱かった。

跳ねるラグビーボール
写真=iStock.com/Thomas Northcut
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たしかに、バックスの中で最も走力に優れ、「スーパーカー」の異名をとる松島幸太朗や、最後尾を固めながら攻撃に参加するフルバックのレメキ・ロマノラバの2人は、よく走ってくれた。

けれども、いずれもトライを取れていない。

本人たちの体格差だけではなく、松島やレメキをサポートして、パスコースを生み出す役割としても足りていなかった。

加えて、フォワードとバックスを繋ぐ役割のハーフ・バックス2人のうちの1人、スクラムハームの流大ながれ・ゆたかもまた、前回大会のような輝きには届いていない。

いつもの彼なら、自分でボールを持って突破を試みたり、大胆なパス回しをしたり、といった、相手だけではなく味方すら驚かすプレーが持ち味なのに、イングランド戦では、体格差を警戒したせいなのか、かなり自粛していたのではないか。

次のサモア戦も厳しい戦いが予想される

収穫も課題も多かったイングランド戦から、次のサモア戦までは10日ほどの間隔がある。

緊張から解き放たれて、どれだけリフレッシュできるのか。もちろん数々の修羅場をくぐりぬけてきた日本代表は、その大切さは百も承知だろう。

次のサモアもまた、イングランドと同じくデカい。

力任せにどんどんと当たってくる。そんな姿は、今年7月に日本で行われた日本代表対サモア代表の試合でも、イヤというほど見せられた。

札幌で行われたその試合の日本代表は、リーチ・マイケルが危険なタックルをしたために前半30分で退場となり、残り50分を1人少ない14人で戦わざるを得なかった。

22対24で敗れたことを善戦ととらえるのか、それとも、ミスの多かった内容面から評価できないと考えるのか。

専門家でも評価は分かれるところだろう。

今大会ではどうか。

世界ランク11位のサモアは、ここまで、チリに43対10と快勝したものの、アルゼンチン(同10位)には10対19で惜敗しており、日本と同じく次戦に勝負をかけてくる。

2試合ともに、後半になると、スタミナも戦術も、ともに荒れてくるのが弱みである反面、勢いは、決して侮れるものではない。

イングランド戦で通用した日本のスクラムへの警戒も、サモアはもちろん怠らないだろうし、それ以上に課題となったバックスへの攻撃を強めてくるに違いない。

では、どうすれば勝てるのか。