東西でソースの好みが分かれる

焼きそばの味は、ソースの違いが最も大きい。まるか食品、製品開発課の五十嵐美海さんは、「東日本では、“甘みが薄いウスターソース系”の味付けを好む傾向があり、西日本では、“甘みが強くコッテリとしたお好みソース系”が好まれる傾向があります」と話す。

うどんやそばの汁は、東日本=濃い味、西日本=薄味という印象が強いが、焼きそばソースの好みは逆なのだ。この違いを同時に楽しんでもらおうと、2023年春に「ペヤング 超大盛やきそばハーフ&ハーフ東西」(希望小売価格250円、税別)を限定発売した。

「まろやかながらも酸味のある“ペヤングソースやきそば”を東日本、“コク深い甘めのソース”を西日本と分け、東西のやきそばを表現したのです。おかげさまで売れゆきは好調でした」(同)

東日本は、「ペヤングソースやきそば」でおなじみの通常ソースだ。実際に湯切りした後の麺にかけてみると、色の濃さもまったく違う。

筆者撮影
カップ焼きそば界で屈指の人気を誇る2ブランド

東日本はペヤング、西日本がU.F.O

ところで、カップ焼きそばの売り上げ(※)首位は、「日清焼そばU.F.O」(日清食品)だ。今は東京本社と大阪本社があるが、もともとは関西発祥の会社。即席麺市場を創った「チキンラーメン」は大阪府池田市で開発された。

(※)インテージSRI+カップインスタント麺市場 「焼きそば」カテゴリー 2022年1月~12月、U.F.Oブランド累計販売金額(全国、全業態)による

そうした地盤もあるのだろう。カップ焼きそばの売れゆきも「東日本はペヤング、西日本がU.F.O」という勢力図だ。中部地方を境に変わるが、境界線ははっきりしない。

ソフトブレーン・フィールド(現mitoriz)が2015年に行った、カップ焼きそばに関する5300人アンケート調査で興味深い内容があったので、この機会に紹介したい。

それによれば「カップ焼きそばを食べるシーン」は圧倒的に「昼」が多く、他は「間食」「夕食」「夜食」だった。また、「仕事場・オフィスで食べる人」も未婚女性が20.2%、未婚男性と既婚男性がともに17.0%だった。

出典=「カップ焼きそばを買って食べる5356名(女性2974名、男性2382名、20代~80代)に実施した『カップ焼きそば』に関するアンケート」より。提供=mitoriz

また、「最も好きな焼きそばのブランド」は、東日本では「ペヤング」だが中部以西では「U.F.O」と勢力図通りの結果となった。

出典=「カップ焼きそばを買って食べる5356名(女性2974名、男性2382名、20代~80代)に実施した『カップ焼きそば』に関するアンケート」より。提供=mitoriz

 

もちろん、地域だけではなく人による。別のブランドを一切食べないというわけでもない。たとえば「ふだんはU.F.Oだが、時々ペヤングを食べる」「若い頃に比べて好みの味が変わった」という人もいる。