カップ焼きそばの業界1位は「日清焼そばU.F.O.」だ。ところが東日本では「ペヤング」(まるか食品)が最も人気のブランドになっている。なぜ地域差があるのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。
カップ焼きそば
写真=iStock.com/Wako Megumi
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なぜカップ焼きそばの好みが分かれるのか

お昼時や小腹がすいた時に気軽に食べる「カップ焼きそば」。無性に食べたくなり買いに行ったり、常に買い置きしたりする人も多い。

カップ焼きそばが食生活に入り込んでから半世紀近くたつが、「東日本と西日本では好みが違う」といわれ、SNSでも時々話題になる。

日本の麺文化の違いとしてはご当地ラーメンが有名だ。カップ麺と袋麺が中心の即席麺(インスタントラーメン)市場でも、九州地区の袋麺ではとんこつ味のハウス食品「うまかっちゃん」が首位。定番商品以外に、九州各県のご当地味にちなんだ派生商品も展開する。

焼きそばの好みは、どう違うのだろうか。

今回は、関東風と関西風の味を同時に楽しめる限定商品(後述)を発売した「ペヤング」ブランドを持つ、まるか食品(本社:群馬県伊勢崎市)と日本コナモン協会(事務局:大阪府大阪市)に取材しながら考えた。

ペヤングの焼きそばの特徴

まずは、まるか食品の最近の業績を聞いてみた。

「2020年から始まったコロナ禍でも好調で、安定した売り上げとなっています。2023年3月期の当社業績は、過去最高となる売上高163億円を記録しました。

また、この間に好調だったペヤングの商品は、『オムそば風やきそば』『豚バラ入り 旨い辛さの油そば』『からしマヨネーズ黒胡椒やきそば魔王』などがあります」(同社)

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務などの巣ごもり消費が起き、即席麺の需要が高まった。同市場は「カップ麺」と「袋麺」が大きく、カップ麺は袋麺の2倍以上の規模。「ペヤング」はカップ麺に属する。

最初に巣ごもり需要となった2020年度(1月~12月)は「カップ麺よりも袋麺の伸長が大きく、袋麺は小売額ベースで対前年比20.0%増、数量ベースで17.4%増となった」(「日本即席食品工業協会」調べ)が、やがてカップ麺が伸びた。

コロナ特需が一段落した後もカップ麺は堅調。一方、手軽に調理しやすくコストパフォーマンスが高い袋麺は、外食機会が増えた影響もあり、伸び悩んだ。

前述のように“オムそば”“豚バラ入り油そば”など、切り口を変えたカップ焼きそばを市場に送り出したペヤングは、固定ファンを中心に支持されたのだろう。