家庭用アイスクリームの市場規模が過去最高を更新している。そんな成長市場を引っ張っているのは、意外にもロングセラー商品だ。毎年、多くの新商品が発売される中で、なぜ定番がさらに売れているのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。
過去最高を記録した2022年度のアイス市場
今年の夏は猛暑日が多かった。長雨や冷夏だと売れゆきが厳しくなるビールや清涼飲料水、アイスクリームなどは、さぞ売れたことだろう。
このうち、アイス市場は近年の伸びが著しい。業界団体の日本アイスクリーム協会の発表数字では、2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)は「5534億円」(前年比105.2%)と過去最高を記録。ちなみに2013年度は「4330億円」だった。
好みの商品は人それぞれだが、全国各地の小売店で購入できる「家庭用アイス」の上位には圧倒的にロングセラーが多い。これもアイス市場の特徴だ。
なぜ変化が激しく、多彩な味が楽しめる現代に、消費者は昔からあるブランドを支持するのか。各社の取り組みに加えて、主に20代30代の声を紹介しながら考えた。