焼肉食べ放題専門店「焼肉きんぐ」が絶好調だ。国内の店舗数は300店舗を超え、チェーンとしての売上高は業界トップとなっている。特にファミリー層に強みがあるという。なぜ子連れ客に支持されているのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。
チェーンの中でも1、2を争う売り上げという「焼肉きんぐ」駒沢公園店
筆者撮影
チェーンの中でも1、2を争う売り上げという「焼肉きんぐ」駒沢公園店

なぜ焼肉きんぐは快進撃を続けているのか

「お席で注文 食べ放題」「小学生半額 幼児無料」を看板に掲げた、「焼肉きんぐ」(運営会社:物語コーポレーション、本社は愛知県豊橋市)が快進撃を続けている。全国各地に展開し、国内店舗数は305店(2023年6月30日時点)となった。

1号店は石川県野々市市ののいちし(「焼肉きんぐ 御経塚店」)で、2007年3月のオープンだった。それ以来、16年かけて300店に到達した。焼肉チェーンで最も多いのは「牛角」(運営会社:レインズインターナショナル)の561店(2023年6月1日時点)だが、近年は「焼肉きんぐ」が猛追。1店舗あたりの売上高も、チェーンとしての売上高も大きく上回る。

【図表1】市場占有状況 売上高シェア

なぜ、消費者が支持するのか。焼肉事業の責任者に取材しながら考えた。

4人家族で1万円程度で食べられる

店の看板に「食べ放題」を掲げるように、3つのコース(制限時間100分)が用意されている。最も注文が多いのは「きんぐコース」で、ひとり3498円。3月29日から220円値上げしたが、お客は離れない。各コースを注文すれば多くの料理が金額内で楽しめ、「小学生半額、幼児無料」も家族連れにはありがたい。別料金で飲み放題もある(図表2)。

【図表2】「焼肉きんぐ」の食べ放題・飲み放題コースと価格

「7月19日より、四大名物を“五大名物”にリニューアルしました。東日本と西日本で一部内容を変えていますが、価格改定に伴う価値をより感じていただきたいと思います」

焼肉事業を統括する山口学さん(物語コーポレーション 執行役員 焼肉事業部 事業部長)はこう説明する。同事業部歴12年の山口さんは、事業の拡大を陣頭指揮してきた。