あえて、おせっかいをする「焼肉ポリス」
「焼肉ポリス」とは、腕章をつけた従業員が店内を見回り、お客に焼き方や食べ方を伝える役割だ。競合店ではあまり見かけない。
「食材によっては、どの程度焼けばいいか、わからない時もあるでしょう。また、会話に夢中になって、せっかくの肉を焦がすことがあるかもしれません。そこで焼肉ポリスが“おせっかい”をすることで、美味しい状態で食べ、食事時間を楽しんでいただきたいのです」
焼肉ポリスには学生アルバイトも多い。以前の取材時に話を聞くと、この仕事で対人経験を積み、卒業後は医療関係の進路を目指す人もいた。
また、2016年頃から「減卓」として、厨房スペックを見直し、テーブル数を適正化させた。混雑時に、注文からメニュー提供まで時間がかかるのを防ぐ取り組みだ。落ち着いて食事できるよう座席の間も広げた。一気に行うのではなく、新店や店舗改装時に実施した。
これがコロナ禍で座席と座席の空間、間仕切りなどが評価され、一段と人気が高まる。「不満あるところにビジネスあり」というが、その解消に力を入れたのだ(図表3参照)。
他店よりも高い原価率
定番メニューを充実させる一方で、時にエッジを効かせた訴求も行う。
「食べ放題だからこそできる新提案は、期間限定でやっています。そんなに親しみがないけど、ちょっと食べてみたいと思うようなメニューは、この時に訴求します」(山口さん)
今年は春限定で、“ポチャ”(屋台)をイメージした「韓国フェア」を開催(現在は終了)。6月21日からは夏限定で「JAPANフェア」が開催中(8月下旬ごろまでの予定)だ。「焼しゃぶカルビ(ポーク)」や「西京焼(ポーク)」なども投入している。
こうしたこだわりを続けた結果、食材原価率は4割を超える。一般的な外食は約3割といわれるので、来店客はコスパがいいと感じ、満足するのだろう。