お客に支持される2つの理由

利用客に支持されてきた理由を、山口さんはこう話す。

「まずは手頃な価格です。ご注文内容にもよりますが『1家族1万円』を想定した価格設定にしています。肉の品質にもこだわり、今回、きんぐコースに国産牛を導入しました」

ちなみに家族4人(大人2人、小学生2人)で、全員が図表2の(2)「きんぐコース」(3498円×2+1749円×2)を注文すると「1万494円」になる。

ドリンク代は別で、大人が「ソフトドリンク+アルコール飲み放題」(1529円×2)、小学生が「ソフトドリンク飲み放題(半額)」(214.5円×2)を頼むと「合計1万3981円」だ。

大食漢で酒好きの大人でも、支払時に〈いくらかかったか?〉ドキドキしなくてすむのだ。この安心価格も支持されている。

さらに、お客の支持が高いのは、「テーブルオーダーバイキング」だ。

「全商品を席まで運んでいます。食事、飲み物、網交換などをタッチパネルで頼めば、座席でお待ちいただけます」(山口さん)

看板にある「お席で注文」がこれにあたる。食べ放題店の多くは、自分で飲食を取りに行く。家族連れの場合、多くは母親の役目になりがちで、特に小さな子どもと一緒だと落ち着かない。焼肉きんぐにはドリンクバーもなく、タッチパネルで頼めば持ってきてくれる。

焼肉きんぐ看板に書かれた「お席で注文」
筆者撮影
焼肉きんぐ看板に書かれた「お席で注文」

ロボットと従業員の役割分担

全国各地に展開するが、利用客の注文内容に、地域的な特徴はあるのだろうか。

「カルビ、ハラミ、ロースを好まれるのは全国共通で、五大名物でもこだわっています。それ以外は総じていえば、関西はハラミ好きで、九州は豚肉や鶏肉文化なのを感じます」

物語コーポレーション 執行役員 山口さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
物語コーポレーション 執行役員 山口さん

全体で一番人気はカルビで、中でも「炙りすき焼カルビ」は薄くて食べやすいため、注文数が多いそうだ。店では、卵にくぐらせて食べるのを推奨する。

制限時間100分なので、以前は時に「飲食を持ってくるのが遅い」という不満も受けた。その改善の一因となっているのが配膳ロボット「Servi(愛称みーと)」(ソフトバンクロボティクス社製)の導入だ。

最近、飲食チェーン店で見ることが増えた配膳ロボットが、ここでも活躍している。従業員とロボットは、どう役割分担をしているのか。

「ロボットには、従業員でなくてもできることを委ねています。一方で、従業員の役割はお客さまが満足いただくサポートです。当店独自の『焼肉ポリス』もそれにあたります」(同)