相続での揉めごとは他人事ではない。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「特にきょうだい間は揉めやすい。絶縁状態になるケースもたくさん目にしてきた」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーを考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

テーブルで向かい合う男女
写真=iStock.com/kazuma seki
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きょうだいが絶縁するケースも少なくない

読者の皆さんも一度は周囲で“相続”の話題を耳にしたことがあるでしょう。そして、“相続”が“争族”になりやすいこともまた、ご存知かと思います。

人口のボリュームゾーンである団塊の世代が後期高齢者に達し、団塊ジュニア世代も50代。相続問題に直面する人が急増する今、家族がハッピーになれる相続のコツをお伝えします。

ファイナンシャルプランナーの私が日々痛感しているのは、相続は本当に揉めやすい、ということです。特にきょうだい間は揉めやすく、親が残した財産をきょうだいで分割するとなった際、それまで仲の良かったきょうだいが取っ組み合いのケンカをしたり、果ては絶縁してしまう悲惨なケースを散々、目にしてきました。

そして今まさに絶縁の危機にあるのが、白川さん兄弟です(仮名)。数年前にお母さまが逝去された後、弟さんが80代の父親とふたり暮らしをしていたのですが、その父も昨年、他界。地方で自分の家族と暮らす兄との関係は希薄でしたが、仲が悪いというわけでもなく、年に一度は顔を合わせていました。

問題は、亡くなったお父さんの遺産が想定よりも多かったことです。兄弟ともに父親の資産状況を知らされていなかったため、亡くなってから突如、現金だけで5000万円の遺産があることが判明。加えて、これは前からわかっていたことですが、都内にある持ち家を誰が引き継ぐのかについて、兄弟間で話し合いが行われました。

法定相続分では「2500万円ずつ」になるはずが…

民法で定められた法定相続分では、現金5000万円は長男・次男でそれぞれ「2分の1」となります。よって、互いに2500万円ずつ均等に分ければいいだけ……なのですが、そう簡単には事が運ばないのが相続です。

待ったをかけたのは、両親と長年同居してきた弟の貴文さん(仮名)でした。貴文さんの主張は、「高齢の両親をずっと面倒みてきたのは自分。家の管理を担ってきたのも自分であり、今現在もこの家に暮らす自分が不動産を引き継ぐのは当然」というもの。さらに現金5000万円についても、「均等の割合はおかしい」と、踏み込んだ要求をしました。やがて明らかになったのは、“長男びいき”ゆえに疎外感を味わってきた貴文さんの、積年の恨みです。

貴文さんいわく、なにかにつけて家族は長男ばかりを優遇し、兄の聡さん(仮名)自身も弟の貴文さんに対し、「白川家の長男は俺なんだから」と、傲慢な態度をとってきたそう。両親が亡くなるまではぐっとこらえて大人な態度で接してきた貴文さんも、「親父に一番可愛がられていた長男の俺が家をもらうのは当然」といった兄の発言を受け、遂に爆発。「両親を面倒みてきたことに加え、兄からこれまで受け続けてきた精神的苦痛を勘案しても、到底2500万円では納得がいかない」と、法定相続分以上の金額を要求したのでした。