昨今の教育界のキーワードは「探究的な学び」。課題を設定し、情報を収集して、整理・分析し、まとめて表現する学習活動だ。親世代にはなかった新しい“学び方”だが、家で親にできることは何なのか。探究型の教育の第一人者、花まる学習会の高濱正伸さんと、来年開校のFC今治高等学校で学園長を務める元サッカー日本代表監督の岡田武史さんが語り合った――。(前編/全2回)

※本稿は、『プレジデントFamily2023秋号』の一部を再編集したものです。

ワクワクするから深めていける

【高濱】花まる学習会では、「メシが食える大人」=「自立・自活ができる大人」の育成を目指して、特に野外体験に力を入れてきました。知識や技能の詰め込みだけではこれからの社会に太刀打ちできません。僕はもともと算数屋なんですが、かれこれ40年、教科の学びだけではなく、体験が大切だと言い続けています。

高濱正伸さん
高濱正伸さん(撮影=市来朋久)

【岡田】僕は教育の素人ですが、来年4月に愛媛県の今治市で開校するFC今治高等学校の学園長に就任しました。基本、全寮制で探究を中心に据えたカリキュラムの学校です。

【高濱】寮制、いいですねぇ。

【岡田】ちょうど対話型AI(人工知能)のチャットGPTが話題になり始めた1カ月後ぐらいに開校の記者会見をやったのですが、ものすごく反響があって、オープンスクールもすぐ満杯になってしまいました。いくら知識を詰め込んだってしょせんAIには勝てないという時代に、じゃあいったい何をすればいいのかってことを、保護者のみなさんが真剣に考え始めたのだと思うんです。だからこれだけ大きな反響があった。今までは、「一流大学に進学できるかが大事」だと考えていた親御さんたちのマインドが、変わり始めた気がします。

【高濱】親御さんの意識は、確実に変わってきていますよね。

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