※本稿は、小川大介『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
子の幸せを願う行動が裏目に出てしまう
子どもの幸せを願わない親はいません。
自分の持つ能力を最大限に生かして、社会で活躍してほしい。健康で、思いやりのある人間に育ち、たくさんの友だちに囲まれて、豊かな人生を送ってもらいたい。
どんな親も、子どもの未来が明るく、笑顔に満ちたものであってほしいと願います。
ただ、子どもの幸せを想うあまり、子どもに「将来の幸せに直接つながりそうなもの」を与えすぎ、詰め込みすぎている親御さんが多いのもまた、事実です。その結果、時間にも心にも余裕がなくなり、親からも子どもからも、いつの間にか「笑顔」が消えてしまっています。
子どもの幸せを願うための行動が、知らず知らずのうちに、親自身や子どもを苦しめているのです。
「お子さんが熱中している遊びは何ですか」
私は2000年に中学受験を専門とする個別指導塾を設立し、長く代表を務めてきたのですが、学習の進め方について親御さんと面談をすると、次のような質問を非常によくいただきます。
「子どもには何をさせればいいのでしょうか?」
「子どもにはどんな教材を買ってあげればいいのでしょうか?」
「子どもにはどんな体験をさせてあげればいいのでしょうか?」
わが子には幸せになってほしい。遠回りをさせたくない。自分が有益な情報を知らないことで子どもに損をさせたくない――。
メディアに子育て情報があふれる昨今、わが子を思う親としての切実さが、このような質問になって表れているのでしょう。
これらの質問に答えるべく、私はどんなお子さんなのかをもっと詳しく知るために、親御さんにこんな質問で返します。
「最近のお子さんの口ぐせは何ですか?」
「朝起きてから最初に、どんな行動をとっていますか?」
「どんな遊びに熱中していますか?」