今が一番幸せ

今は眞さんが車で送迎してくれるようになったものの、相変わらず、一人暮らしがラクでいい。

「一人で好き勝手にやれるから、それが良くて……。ここ数年、ようやく、何も思い煩わされることがなくなって。本家のお嫁さんだから、いいお嫁さんをしないと、という時代からすれば、今が一番幸せですね」

「今が一番幸せ」と話す繁子さん
撮影=市来朋久
「今が一番幸せ」と話す繁子さん

嫁だけではない。3児の子育ての後、保育士をしながらPTAに教育委員、裁判所の家事調停員、市の女性問題懇話会座長など公職も引き受け、ずっと忙しく働いてきた。長年の功績から叙勲の話も出たが、繁子さんはあっさりと何の頓着もなく断った。

これからも週に数回、保育の現場に立つつもりだ。仕事を辞める気は、毛頭ない。

「自分にまだ何か、役に立つことがある限り、やっていきたいですね。卒園した子が6年生になって挨拶に来てくれたりすると、うれしいですね。あんな、ちっちゃかった子がって。ずっと仕事をしていくことに、嫌だなって思ったことはないですね」

健康には特に気を使うことはないが、とにかく丈夫。リトミックの研修に参加したとき両手首を骨折したことがあったが、あっという間に回復し医師に驚かれた。コーヒーには角砂糖を平気で5つ。甘いものが、とても好き。そんな繁子さんが頬を赤らめ、こう言った。恥ずかしくて、言葉に出したくはなかったのかもしれないけれど。

「元気の秘訣ひけつは、リトミックと読み聞かせですね」

【関連記事】
【前編】96歳の現役保育士が流した汗と涙…東京女子大を中退し嫁ぎ先の"命令"で資格取った女性の「働き続ける理由」
「お金持ちだからではない」頭のいい子が育つ家庭に共通する"幼児期のある習慣"
9歳までにほぼ決まってしまう…受験家庭5000組を見た教育のプロが考える「頭のいい子」の育て方
小5の息子が「うっせえなあ、クソババア!」と逆ギレ…わが子を「キレやすい子」にした母親の"3つの口癖"
帰宅が遅い子供に「何時だと思ってるんだ」は三流、「黙る」は二流、では一流の伝え方とは?