初公開「吉祥寺・ハモニカキッチンの思想」（1）吉祥寺の街はここが駄目かも

物件が空くと、ぼくのところに一番先に話が来る

路地に面したオープンカウンターの店「てっちゃん」。2003年オープン。

【三浦】ハモニカキッチン支店をショッピングモールに出しませんかとか、アトレに出しませんかという話、来ます？

【手塚】ハモニカキッチンじゃなくて、物販で出さないかとかいう話はあります。パルコからも来たし、中野の新しい大きなビルからも来た。ぼくはパルコの人に毎回言っているんですよ。入口で焼き鳥屋をやらせてくれたら出るけれどって（笑）。見ていると、吉祥寺のパルコも飲食を入れ始めましたね。一番上のアスターの店は成功しているらしいけれど、パルコもこれからどうするんだろうね。

【三浦】渋谷パルコでもシェアオフィスをやろうという話があったようですが、ヒカリエに先にやられちゃった。パルコは、シェアオフィスにするには駅から遠いんですよね。

【手塚】そういえば吉祥寺にはヒカリエくらいの規模で何かやれるところが、もうまったくないね。コピスができるときに可能性があったのに、ただの複合商業ビルにしちゃったからね。

でも、そう言っているぼく自身、吉祥寺にちょっと飽きてきているんだよ。この横丁で物件が空くと、ぼくのところに一番先に話が来るんです。それはなぜかというと、きれいにして使うからだと思うんだ。でも、ぼくは他の誰か面白い人につないで、ちょっと過激なものをやりたいんだけれどね。ただ、ハモニカ横丁は狭いから、お客をものすごく回さないと難しいから、物販はもうほとんど不可能ですね。

【三浦】ハモニカ横丁を回すことを誰かに渡して、手塚さんだけどこかに行っちゃうということは考えませんか？

【手塚】それ以前に、年齢から考えると、もうぼくはパスしなきゃ駄目じゃないですか。ふつうの会社なら定年だし。分社化すべきなのか、本部機能を充実させて、ある程度、任せられる仕組みをつくったらいいのか、ちょっと考えているところなんだけれど。

【三浦】今、社員は何人くらい？

【手塚】保険とか何かに入っているという意味では今、15人くらい。ただうちには退職金はないんです。退職金をやるほどうちの会社は長続きしない。あんたたちが退職するころにはない……とか言って（笑）。