持ち家を勧める不動産神話に騙されない

「持ち家か賃貸か」。30~40代の方の中にはこの二択で悩んでいる人も少なくないでしょう。

結論からお話ししますと、迷っているのであれば、日本では家を買うべきではありません。条件のいい物件を買えば後述するように、もちろん不動産価格は上がります。

不動産営業の人が必ず使う口説き文句があります。

「買えば資産になりますよ」
「家賃を払っても何も残りませんが、不動産は売れますよ」

でも、これらは本当でしょうか。

最近はマンション価格が高騰しています。大都市圏では年収の7~8倍にも相当し、これはバブル期に迫る勢いです。大都市圏の郊外のマンションも2000年代には3500万円程度だった3LDKが7000万円を超えるのも珍しくありません。

東京都心のパノラマビュー
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

ただ、地価をよく見てみると、三大都市圏でも昔からあまり人気のなかった地域や交通の便が良いとはいえない地域は横ばいです。地方に至っては一部の新築マンションは高騰していますが、大半の地域は下落が止まりません。軒並み高騰したバブル期とは全く様相が異なります。ごく一部の高騰している場所と横ばいの場所、そして下落している場所に三極化しています。

日本中の家は余り始めている

理由は簡単です。日本は人口が減るからです。日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少局面に入っています。2030年には1億1662万人、2050年には9515万人まで減少する見通しです。半世紀も経たずして、3000万人以上が減る見通しです。

すでに、今でも地方では土地も家も余っています。空き家問題も大きな社会問題になっています。都市圏でもこれからそうした状況が出てくるでしょう。

「老人になったら貸してもらえないから家を買った方がいい」という意見もありますが、老人だからという理由で、賃貸の更新ができずに家を追い出された人をみなさんは見たことがありますか。これからは家も余ります。大家さんも何とかして空室を埋めたいはずです。住む場所に困るということは考えづらい状況です。

ですから、「家が資産になる」状況も考えづらくなります。日本中に家が余っているのに買いたい人が少なくなる一方なのですから、よほど条件の良い家でなければ資産にはなりません。売ろうと思っても売れない、そんな状況がくるはずです。