危険な兆候
恋愛シーンにおいては、いまも若者の多くが、男性に「男らしさ」を、女性に「女らしさ」を求めます。それなのに、結婚をイメージする場面では真逆で、男性は未来の妻に「経済力」を、女性は未来の夫に「家事・育児力」を求めていることになります。
つまり、恋愛と結婚のニーズは180度違うと言ってもよく、これだけを見ても「恋愛→結婚」の流れに歪みが生じているのが分かります。若者たちは(無意識かもしれませんが)、その矛盾に気づき始めたからこそ、「恋愛と結婚は別」だと言うのでしょう。
もはや、この状況を放置し続けるだけの、時間的猶予はありません。
なぜなら「恋愛は面倒」だとする彼らの多くが、恋愛のみならず結婚までも「面倒」だと感じ始めているからです。多くは語りませんが、’10年までは未婚の男女(18~34歳)で、1割に満たなかった「一生結婚するつもりはない」の回答が、’21年には男性で17.3%、女性で14.6%にまで増え(図表5)、逆に「いずれ結婚するつもり」の回答が、男女とも6年前(’15年)より、5%前後減ってしまいました(「第16回出生動向基本調査」)。
ここまで顕著な減少は、過去に例がありません。まさに今後数年で、少子化どころか「未婚化」にも再び拍車がかかる危険性を孕んでいるのです。