「結婚と恋愛を切り離す」理由

① 考え方次第で解決できるから

それでも若者たちの8割以上は、まだ結婚への意欲を捨てていません。そこで私は、あえて「結婚と恋愛の切り離し」を提案することにしました。令和のいま、スピード感も重視してこの提案を行なう理由は、おもに3つあります。

1つ目は、結婚における「結婚したい」「でも恋愛が面倒」は、先ほど挙げた「○○大学に入りたい」「でも入試や勉強が面倒」より、はるかに解決しやすい課題だからです。

仮に入試(勉強)が面倒な場合は、入学したい○○大学で「推薦など別のシステムによる入学を許可しているか否か」を調べあげ、入試以外の手段がなければ即アウトでしょう。ところが「恋愛結婚」は、システム(制度)ではなく、単なる“概念”です。本人が「恋愛」という通過儀礼にこだわらず、「恋愛以外の要素(感情や決定基準)を、結婚に発展させることはできないか」などと考え、それを実行すればいい。つまり本人の考え方次第で、今日からでも解決できる問題なのです。

② 「結婚=恋愛結婚」ではないから

2つ目の理由は、「恋愛結婚」のベースにある「ロマンティック・ラブ・イデオロギー(ロマンティック・ラブ)」、すなわち「恋愛・結婚・出産」を三位一体だとする概念が根付いてから、日本ではまだ半世紀程度の歴史しかないからです。

詳細は本書で述べていますが、今日私たちの多くが“常識”だと考えて疑わない「恋愛結婚」も、60~70年前の日本では、大いなる“非常識”でした。それなのに令和のいま、いつまでも当たり前のように「結婚=恋愛結婚」だと考え、無理にでも「恋愛しなければ」と焦る若者たちを見ると、お節介ながら「無理しなくていいよ」と言いたくなります。

恋愛のリスクが顕在化し、恋愛以外の「もっと楽しいこと」(選択肢)が増えれば、あえて面倒な恋愛を選ぼうとしないのも当然でしょう。そのうえ、恋愛結婚のベースにある「ロマンティック・ラブ」の概念は、既に’90年代初旬から、機能不全に陥っていたとも見られています。

それなのに、令和のいまも「恋愛しなければ結婚できない」とする昭和の価値観を若者に強いるのは、あまりにも酷なのではないでしょうか。

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写真=iStock.com/Vasil Dimitrov
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