既婚と未婚でまったく違う回答に
「結婚生活は愛か? お金か? どちらが重要か?」
そんな問いに対して実際の既婚男女はどう考えているでしょうか。もちろん、そんな簡単にどちらか一方であると断じることはできません。しかし、あえて、どちらか一方しか選べないとしたら? という前提で、私のラボでは、1都3県20~50代の既婚男女を対象に調査をしたことがあります。
2019~2020年の結果の平均は以下の通りです。
既婚男性25% 既婚女性31%
「結婚生活は金だ」
既婚男性24% 既婚女性27%
既婚男女とも「愛」のほうが多少上回っていますが、双方とも約3割でほぼ同等と見ていいでしょう。男女で比較すると、女性のほうが男性より「愛」も多いが「金」も多いという結果でした。
ちなみに、同様の質問を20~50代の未婚男女に対しても行っていますが、既婚男女とは大きく様相が変わります。
未婚男性28% 未婚女性21%
「結婚生活は金だ」
未婚男性25% 未婚女性45%
愛を求める男、金を求める女
未婚男性が「愛」も「金」も約3割弱で既婚者とほぼ変わらないのに対して、未婚女性の方は「金」が45%と半数近くを占めます。つまり、未婚男女においては結婚に対する考え方が相反しており、「愛を求める男と金を求める女」という構図があります。これではなかなかマッチングしないというのも当然なのでしょう。
別の見方をすれば、未婚と既婚の女性の「金」の割合の差分は未婚女性のほうがプラス18%ポイントとなっています。ちなみに、2020年時点での女性の生涯未婚率(50歳時未婚率)は17.8%です。奇しくも、「結婚は金だ」という考え方の女性のうちの約18%が生涯未婚のまま50歳を迎えているという解釈もできます。
こう書くと「金のことばかりいう強欲な女性が結婚できないのだ」と思ってしまいがちですが、現実的に結婚生活に金が必要であることは明らかです。女性のほうがリアリストであるということでもありますし、もうひとつ見落としてはいけない背景には、相手の未婚男性の所得が30年間全然あがっていないという現実もあるでしょう。
1980年代までの皆婚時代はあえて「金」の心配などしなくても、10年後、20年後にはこれくらいの給料を得られるという安心感がありました。今はそうではありません。