未婚女性は圧倒的に「金、金、金」
ここで比較のために、未婚男女の年収別意識の違いを見てみましょう。未婚男女の場合は、世帯年収ではなく個人年収となります。
清々しいまでに、未婚女性の「金だ、結婚は金なんだよ」という意識の高さが目立ちます。個人年収600万円までの未婚女性の「金」重視意識は40%を大きく超え、「愛」の割合のほぼ倍以上です。
未婚女性の「愛」の割合が高まるのは、個人年収800万円を超えたあたりですが、なかなか20代でその年収に達する人も少ないでしょうし、年代別の推移を考えれば、20~30代まで「結婚は金だ」と思いつつ、気が付いたら40代以上に達し、確かに自分の稼ぎはあがったものの「やっぱり結婚は愛だったんじゃないか」と思うようになった女性もいるかもしれません。
一方、未婚男性は、個人年収300万~600万円の中間層がもっとも「愛」意識が高いわけですが、これも未婚のまま年収が高くなればなるほど「やっぱり結婚は愛じゃないんだな」とわかってくるような推移を辿ります。
「愛は贅沢な消費」と考えざるを得なくなっている
とはいえ、実態として、2000年以降の初婚男女の年収帯を見ても、300万~400万円台で結婚している例がもっとも多く、婚姻はそれら若者としての中間所得層によって支えられていたわけですが、2016年以降、その中間層の婚姻数が大幅に減っていることも確かです。
言い換えれば、500万円以上の所得層の未婚者の婚姻数は実数として減ってはいないが、絶対数の多いこれら中間層の若者が結婚できなくなっているがために、婚姻数が激減しているのです。
「愛はお金では買えない」というのはその通りでしょうが、「愛ではお金にはなりません」し、「愛さえあればお金などいらない」というわけにもいきません。お金がなければ生きていけないこともまた現実です。
かつて、結婚は「生産」機能でもありました。「一人口は食えねど二人口なら食える」といわれたように、貧しくても夫婦協力して生産にあたり、合理的に生きていける術でもあり、子どもを産むことも労働力の生産のひとつでもありました。
しかし、現代では結婚は「消費」と化しています。しかも、コストのかかる「贅沢な消費」であり、ある程度裕福でなければ手の届かないブランド品的なものになっています。愛もまた、贅沢な消費を通してしか得られないものになっていくのでしょうか?
結婚をそういうコストだとか消費だとか考えるから結婚できないのだという意見もあるでしょうが、多くの中間層以下の若者がそう考えざるを得ない経済環境に置かれているという事実も忘れてはならないでしょう。