個人が後継者不足の中小企業を買うケースが増えている。「サラリーマンこそ、会社を買うべき」と提唱し、スモールM&Aブームを牽引した事業投資家の三戸政和さんは「サラリーマンが会社を買うための“環境”が整い、マーケットの状況は一変した。買い手が増えて徐々に“売り手市場”になっていくので、よい会社を買うチャンスがあるのは“いま”。最長でもあと5年だ」という――。(第1回/全2回)

※本稿は、三戸政和『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。

人生の選択肢が増えた

あなたはこの5年間をどう過ごしましたか。

ちょうど5年前の2018年、私は『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(以下、略して『サラ3』と呼びます)を上梓じょうしし、「個人が会社を買う」という新しい概念を社会に伝えました。

おかげさまで書籍はたくさん読まれ、実際に、ごく普通のサラリーマンの中からスモールM&Aに乗り出す方が登場するようになりました。なかには、そのプロセスをテレビ番組が取材し、放送されたケースもありました。ご覧になったことのある方がいるかもしれません。

私が伝えたかったことが世の中に広まり、「個人が会社を買う」ことは、もはや人生の選択肢の1つとして選び得るものになりました。

オフィスで握手する2人のビジネスウーマン
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

社会は変化している

実際、同書を手に取った方は、「はたして普通のサラリーマンでしかない自分にもできるだろうか……」という想像を、何回かはしたはずです。

もちろん、人にはそれぞれが抱える事情、立場、状況があります。すぐに「会社を買おう」と動き出せる方はそう多くなかったでしょう。

それでも、この5年の間に何らかのアクションを起こした人は多数存在しました。そしてその数は、徐々にではありますが、確実に増え続けています。

社会も変化し始めました。一例として、127万社が該当するともいわれ、高止まりしていた後継者不在の中小企業の割合が減少に転じています。「誰か」が事業承継し、後継者になっているということをこの数字の変化は物語っています。