※本稿は、川村 孝『職場のメンタルヘルス・マネジメント 産業医が教える考え方と実践』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。
仕事が山積みなときにとるべき行動
課題が山積しているときに、さらに別の仕事が入ることがあります。
このとき、今は忙しいからといってそのままにしておくと、たまっている仕事の重みがさらに増して心が重圧感で潰れそうになってしまいます。
また、そのときはあとでやるつもりにしていて、そのまま忘れてしまったりもします。
そこで、会議やメールなどで課題が振られたとき、「とりあえず手をつける」とよいでしょう。
頭がホットなうちに、要点だけでもメモ書きしておくと、「未着手」のプレッシャーが軽くなります。私も講義・講演の一コマが終わったときに頭の中にいろいろと反省点が浮かんでくるので、その時点で次年度・次回分の修正事項を盛り込んだ暫定版を準備しておくようにしています(年次データやリアルタイム・データなどは講義・講演の直前に更新します)。
そのときは作るだけで見直しません。見直しをし始めると所要時間がいっきに増えてしまうからです。
仕事は「余韻を残して終了」がいい
「続きは来週……」の連ドラのように、余韻を残してそのまま終了します。他の仕事も一段階進めて時間ができたときに元に戻って見直しをするのです。一気に見直しまで進むより、間をおいて取り組んだ方が頭がクールになって合理的な修正ができます。
提出前に最終チェックをしますが、どうしても時間がとれなければそのまま提出して、とりあえず約束は守ります。これでまじめな人にとっては負担感が軽減され、忘れがちな人では漏れが減ります。
しかし、世の中にはいろいろな人がいて、追い詰められないとやる気が起きない人がいます。
事前に対応ができない“火事場の馬鹿力”タイプは、早めに手をつけろと言われること自体がプレッシャーになるので、直前の頑張りで成果が出せているのなら無理にスタイルを変更する必要はないかもしれません(「あいつ、大丈夫か?」と周りをハラハラさせますが)