世界初のイノベーションを起こす人はどんな努力をしているのか。世界で初めてユーグレナの食用屋外大量培養の方法を発明した出雲充さんが東京・文京区にある本郷中学校・高等学校の生徒に向けて起業時の苦難のエピソードを語り、生徒からの直球な質問に答えた――。(後編/全2回)

※本稿は、『プレジデントFamily2023夏号』の一部を再編集したものです。

ユーグレナ代表取締役社長 出雲充氏
撮影=岡村智明
ユーグレナ代表取締役社長 出雲充氏

一流だけが知っている「0.99の459乗」の成功の方程式

59種類もの栄養素をもったユーグレナは、人間にとって素晴らしい食料源ですが、それは同時に、人間以外の生物にとっても素晴らしい食料であることを意味します。ユーグレナを大量培養するにはどうしても屋外で育てる必要がありますが、そこに紛れ込んだ生き物(その中には目に見えない菌類、細菌類も含まれます)によって、あっという間に食べつくされてしまうのです。

でも、20歳の私は、「一生の仕事」として覚悟して取り組めば、何とかなるんじゃないか、と考えました。そして、実験を始めました。

ただ、本当に大変でした。何度やっても、様々な方法を試しても、どうしてもうまくいかない。100回やっても、200回、300回やってもできないんですよ。「これは大変なことになった、やめてしまおうか」と何度も思いました。

しかし私は、何とかやり遂げることができました。ユーグレナに出合い、一生をかけよう、そう決めてから5年。2005年の12月16日、沖縄県の石垣島で、ついに世界で初めてユーグレナの食用屋外大量培養の方法を発明できたのです。

なぜ、私が途中で諦めずに、ユーグレナの大量培養を成功させることができたのか。大切なのは「メンター」と「アンカー」だったと考えています。

メンターとは心の底から尊敬している先生、先輩、師匠のことです。人はメンターに出会うことによって、夢をもつことができます。私にとってのメンターは、間違いなくグラミン銀行創立者であるムハマド・ユヌス先生。周囲に笑われながらも、貧しい人々を救いたいという夢をもち続けているユヌス先生は、私の進むべき道を示してくれています。

アンカーとは、その夢を忘れないための具体物。ちょっとした記念品でも手紙でも何でもいい。その具体物を見ることで、自分が当時描いた夢や決意を思い出させてくれるものです。私にとっては、大学1年生のときにバングラデシュで買ったTシャツが大切なアンカーです。今でも自宅のクローゼットに置いています。実験がうまくいかないときも、このTシャツを見ると「ユヌス先生と約束したじゃないか、必ずやり遂げると。まだまだ諦めるわけにはいかない」という気持ちが湧いてきました。

今日、ここにいる皆さんも、これから様々な夢をもち、その実現に向かっていくと思います。そのときにはぜひ、メンターとアンカーを大切にしてください。メンターとアンカーが、あなたの夢の実現を、必ず後押ししてくれます。

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