もうじき夏休み。子供に読書に親しんでほしいと願う保護者も多いだろう。そこで、プレジデントFamily編集部が20以上の有名校の校長に子供たちに薦める1冊を聞いた。今回は、国内屈指の難関大・学部に毎年たくさんの合格者を輩出している「開成・灘・渋渋編」。3人の校長が選んだ本は偶然にも“自然科学系”だった――。

※本稿は、『プレジデントFamily2023夏号』の一部を再編集したものです。

灘中学校・灘高等学校 海保雅一先生

今森光彦『光の田園物語』(クレヴィス)

●里山再生を通して「人間は自然の一部」だと教えてくれます

灘中学校・灘高等学校 海保雅一先生
灘中学校・灘高等学校 海保雅一先生(出所=『プレジデントFamily2023夏号』)

日本の植物学の父と呼ばれる牧野富太郎博士(NHKの朝の連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデル)は、灘にも縁がある方です。川崎先生という本校初代の生物の先生が博士の愛弟子で、昭和の初めに、校内にロックガーデン(岩石を配した庭園)をつくりました。牧野博士は、灘中で講演もされています。

牧野博士は、とにかく植物が好きで好きで、日本中の野山を歩き回って調査、研究をしました。ドラマでも、草木に埋もれて観察している様子が描かれています。

私も、子供の頃から自然観察が大好きで、今も植物や昆虫の生態への興味は尽きません。

「人間は自然の一部であることを忘れてはいけません」

これは、灘中新1年生の1学期の「道徳」で、私が生徒に必ず伝える言葉です。

校長と教頭が道徳の授業を受け持っていて、私のテーマは「SDGs」です。私はもともと英語教師ですが、持続可能な社会の実現のための意識の持ち方や取り組みの重要性について、人一倍関心を持ってきました。

そこで、私が薦める一冊は、自然を愛する写真家・今森光彦さんの『光の田園物語 環境農家への道』(クレヴィス)です。今森さんが農家となり、荒れ果てた土地を里山として蘇らせる過程を写真と文でつづっています。

里山は、人間の生活の「生産・消費・廃棄」システムが自然の循環に組み込まれていて、まさに持続可能な環境の理想形とされています。本書は、里山再生の過程を美しい写真で伝えることで、「人間は自然の一部」であることを教えてくれます。

現在、特に都市部では、子供が自然に触れる機会がありません。そこでお薦めしたいのは、同じ今森さんの『昆虫記』(福音館書店)です。1700枚の写真が収められ、日記風に月ごとに出合える昆虫や花が紹介されています。私も初版発売時に購入し、子供と何度もページをめくりました。

『プレジデントFamily2023夏号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2023夏号』(プレジデント社)

親子で読んでほしい本がもう一冊。『センス・オブ・ワンダー』(新潮社)です。

沈黙の春』(新潮文庫)で知られるR・カーソンさんの人生最後の作品で、主人公が幼い大甥おおおいを連れて海岸や森の中に出かけ、ともに自然の美しさや神秘に感嘆します。大人が子供に教えるのではなく、感動を共有する。そんな大人のあるべき姿勢も学べます。

子供の、“ワンダー(不思議、驚異)”に対する感受性が豊かになれば、学んだ知識や情報がより深く定着するだけでなく、自然への畏怖の念も抱くことにもなる。それは、自然の一部である“自分という存在”を粗末にせず大事にすること、命を全うしようという生き方にもつながると、私は考えています。

7月14日(金)19時~21時
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