何をどう書けばいいかわからない……。最終盤に入った夏休み、子供が頭を悩ます課題は「作文・読書感想文」だ。そこで注目されているのが漫画家の小沢高広さんが作成し、SNS上で公開したAIへの指示文章。これは小沢さんの12歳の娘のために作ったもの。AIとの10分間のやりとりで「子供の目が輝き、気持ちがのめりこみ、すぐ600字を書き終えた」という。作家の藤原智美さんがインタビューした――。
※本稿は、『プレジデントFamily2023夏号』の一部を再編集したものです。
夏休みの宿題の最難関「作文」の究極お助けツール
作文用の原稿用紙を前にして、一字も書けない子供がいる。出るのはため息ばかり。
そこへ、やってきたのが有能な作文の先生。しかも、子供をやさしく励ますのが、とてもうまい。何を書けばいいのかわからず悩む子に、先生は的確な言葉を丁寧に投げかけていく。子供が答えに窮しても、しんぼう強く待ってくれる。けっして怒らない。
子供は先生と言葉をキャッチボールするうちに、書きたいこと、言葉に表したい自分の感情に気づき、勢いよく鉛筆を走らせる。
そんな夢のような先生が現実に存在する。今、話題の対話AI、チャットGPTだ。
漫画家の小沢高広(作家名は「うめ」)さんは、AIへの指示文章であるプロンプト(詳しくは後述)を作成し、SNS上で公開して注目を集めた。
実はこのプロンプトは、小沢さんが12歳の娘さんのために作ったものだ。春休み、娘さんが宿題の作文に手こずっていた。新学期も始まろうかという時になっても、テーブルに広げた原稿用紙は真っ白だった。
「そこでチャットGPTを薦めてみたんです。もともとAmazonの音声アシスタント『アレクサ』と会話を楽しんでいたりしたので、うまくいくとふんでいました。事実、『AIさんが助けてくれるよ』のひと言で、彼女はがぜんやる気を見せました」(小沢さん)
では実際に、このAIはどんなふうに役立ったのだろうか。娘さんとAIとのチャットを再現してみよう。