あまたある方法論の中で、我が子に真っ先に取り入れるべきものは何か。人間の脳活動の仕組みを研究する川島隆太さんは「幼少期は読み聞かせ、学童期以降は音読をぜひ継続的に実践してほしい」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、川島隆太『子どもの脳によいこと大全』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

「音読」が最も脳を活性化させる

私はこれまで数百にものぼる実験を行い、脳が活性化する様子を研究してきました。

その中で、最も強く脳が活性化したのが「音読」でした。現在においても、私は音読以上に脳を活性化させる実験結果は見たことがありません。

音読を行うと、脳の神経細胞が一斉に活性化し、脳の血流がどんどん高まって、大脳全体の70パーセント以上が活動しはじめることがわかっています。

小さな男の子がソファで本を読む
写真=iStock.com/kiankhoon
※写真はイメージです

言語を読んでいるときに脳内で起こっていること

言語を読んでいるとき、脳内では何が起こるのでしょうか。

まず、私たちが文章を黙読すると、目にしたものを調べるための「視覚野」がある後頭葉が働きはじめます。次に、目を動かす指令を出す「前頭眼野」が働いて文字を目でとらえ、言葉の意味を理解しようと働く「ウェルニッケ野」が意味をつかもうとします。

そして、「脳全体の司令塔」である前頭前野が働き、読んだ文章を理解し、記憶し、思考するという活動が行われるのです。

このとき面白いことに、聞こえた音を調べる「聴覚野」という脳の部位も働いていることがわかっています。つまり、私たちは文章を黙読しているとき、心の中で声に出して読み、その自分の声を聞いているということです。