子どものスマホ使用に不安を抱く親は多い。特に中高生ともなると勉強の成績に悪影響はないかが気になるところ。「脳機能イメージング」の第一人者である川島隆太さんは「調査の結果、家庭で2時間勉強していても、スマホを長時間使用すると、まったく勉強していない子どもより悪い成績になってしまうことがあるとわかりました」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、川島隆太『子どもの脳によいこと大全』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

スマホの長時間使用で成績は下がる

「子どもがスマホを使い過ぎているのではないか」「インターネットで動画ばかり見ているけど大丈夫なのか」そんな不安を持つ親御さんは多いことでしょう。

その懸念は、当たっています。インターネット機器、特にスマホを長時間使っている子どもは、認知機能が低下して学力も下がることがわかっています。

私は長期間にわたり、仙台市の小学生から高校生の脳の発達について、幅広く調査、研究を行ってきました。その過程で、インターネット機器が子どもたちの脳にいかに深刻な影響を及ぼしているかを知りました。

中でも特に恐ろしいのが、「スマホを長時間使うと、学校で勉強したことが頭の中から消えてしまう」という事実でした。

授業中に隠れてスマートフォンを操作
写真=iStock.com/mapo
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スマホの利用時間で中学生の成績に「15点の差」が

私たちがスマホに関する本格的な調査をはじめたのは、2013年(平成25年)のことでした。

仙台市の中学生を対象に、平均的な家庭での勉強時間とスマホの使用時間、国語と数学のテストの正答率を調査、分析したところ、やはりスマホを長時間利用している子どもほど、正答率が低いことがわかったのです。

勉強時間が30分未満、つまり、自宅学習をほぼしていない子どもの数学の正答率の違いは、次の通りでした。

・スマホ未所持、もしくは1時間以内しか使っていない子どもの正答率=63%
・スマホを4時間以上使っている子どもの正答率=47%

100点満点のテストでいえば、スマホを使っている子どもは、使っていない子どもより平均点が15点も低かったのです。