わが子の成績向上には何が必要か。東北大学教授の川島隆太さんは「脳機能に着目し、そのパフォーマンスを最大化する学習環境を整えることができていない家庭が多い。塾や学習法に関心が高い家庭は多いのに、学習環境に無自覚では子どもの努力を“水の泡”にしてしまう」という──。(第3回/全3回)

※本稿は、川島隆太『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

勉強中は「音」と「映像」を排除

学習において「脳のパフォーマンスを最大限に引き出すポイント」がいくつかあるのをご存じでしょうか。

まずは、学習環境の絶対条件を押さえることが必要不可欠。具体的には、勉強中は「音と映像をできる限りシャットアウトする」こと。この点をしっかり押さえておかないと、どんなによい学習法や参考書を用いても、すべて水の泡になってしまいます。

それがよくわかる次の実験を、ぜひ一度、親子でやってみてください。

まず、ストップウォッチを用意して、1から100までの数を全力で速くかぞえます。かかった時間はメモしておいてください。

次に、同じことを、テレビをつけて行います。

かかった時間を比べてみれば、きっと一目瞭然でしょう。当然ながら、テレビをつけた場合のほうが、時間がかかっているはずです。

テストの点数が悪い子ども
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

脳はマルチタスクが苦手

理由は、「脳はマルチタスクが大の苦手。シングルタスクではじめて最大限のパフォーマンスを発揮する」からです。

勉強中に音楽が流れてくれば、聞こえた音を調べる聴覚野が働き、それが歌の場合は、歌詞の意味を理解するための「ウェルニッケ野」も働きます。

もしYouTubeなどの映像付きなら、目にしたものが何かを調べるための視覚野もせっせと働くことでしょう。

これらは学習でも活発に使う脳の部位です。なのに、学習と関係のないことで働かせてしまっては、当然ながら勉強の効率はガクンと落ちてしまいます。