脳は「暑がり」で「寒がり」と心得る

暑い季節は、勉強をするときにはエアコンで室温を適温に保つこと。そして、学校や塾に着いたときに暑さでぐったり……とならないように、通学、通塾時には保冷材で首の後ろをしっかり冷やすようにしてください。

一方、冬場は気温の低下に注意が必要です。慶應義塾大学の調査では、リビングの室温が低い住宅に住む人は、脳の神経拡散度が低く、脳内の情報伝達の効率が悪いことが知られています。

WHO(世界保健機関)は、健康のために「冬場の住宅の室温は最低でも18度以上」と勧告しています。脳の健康維持、パフォーマンス維持のためにも、18度を下回らないように室温をコントロールすることをおすすめします。

学習前の2分間の音読&計算で「記憶力」「集中力」がUP

さらに、学習前の「脳の準備体操」も重要です。

川島隆太『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)
川島隆太『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)

学習をはじめたとしても、脳がだらけ切っている状態では時間もかかるし、記憶の定着もよくありません。逆に、脳をしっかり活性化させてから勉強をすれば、学習効率を高めることができます。

脳のパフォーマンスを最大限に引き出すために、何をすると最も効果的なのでしょうか。それは音読、もしくは、簡単な計算を素早く行うことです。

私がこれまでに行った膨大な研究の中で、最も脳が活性化する様子を見せたのが「音読」でした。次いで、ひとケタの足し算や引き算などの簡単な計算です。

黙って難しい本を読んだり、難解な数学の問題を解いたりしても、脳はそこまで活性化しません。不思議なことに、声に出して文字を読んだり、小学校低学年レベルの簡単な計算をしたりするほうが、脳はやる気を出して血流をグンと高めてくるのです。