目標までのステップを小さく刻むと「やり抜く脳」になる

本稿の最後に、「わが子には、しっかり目標を持って、粘り強く最後までやり抜く子になってほしい」──そんな願いを抱く親御さんたちにアドバイスを。

例えば、最初は1冊のドリルを「1カ月で全部終わらせるぞ!」と意欲的だったのに、2〜3日もすると、ドリルは開かれた形跡もないまま放置されている……というのはよくあることでしょう。

2020年4月、科学技術振興機構と国立精神・神経医療研究センターの共同研究チームは、「目標の細分化は脳構造の変化を促進し、目標達成を支援することがわかった」と発表しています。

研究チームが行った研究では、参加者にまず、「パズルを最後までやり抜く」という目標を設定して実践してもらいました。

そして、目標を細分化し、小さい目標ごとに達成感が得られる学習プログラムを用いたところ、「やり抜く力が低い」と予測された人であっても、最後まで達成できることがわかったのです。

色とりどりのホップスコッチで2番地に立っている小さな男の子
写真=iStock.com/Techa Tungateja
※写真はイメージです

「サブ・ゴール」を複数設定し、ゴールを細分化しよう

さらに、この学習プログラムに取り組んだ人は、やり抜く力の指標となる脳の「前頭極」の構造に明らかな変化が示されました。

つまり、最終的なゴールだけでなく、その手前に「サブ・ゴール」を複数設定し、ゴールを細分化することで、最後まで「やり抜く脳」に生まれ変わることができる、ということ。

ですから、これを家庭で活用するならば、「1冊のドリルをひと月で終わらせる」という目標を設定したら、さらに「1日に3ページ終わらせる」とサブ・ゴールも設定するようにするといいでしょう。さらに、「朝に1ページ必ず終わらせる」とサブ・サブ・ゴールを設定するのも効果的。

以上、ご紹介してきた方法はいずれも今日からすぐに実践できると思います。ぜひご家庭でいろいろ試してみてください。

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