トータルビューティークリエイター・川邉サチコさんと、ファッションディレクター・原由美子さん。日本のファッションを牽引した立役者であり、ともに80歳を超えてなお現役を貫いている。熱狂の時代を生きてきたレジェンドふたりが語る「自分軸」を持ち続けるための極意とは――。

※本稿は、2026年3月27日に青山ブックセンタ−本店にて開催された、川邉サチコ氏の新著『87歳。“私基準”で生きる』の刊行を記念したトークショーを記事化したものです。

『87歳。“私基準”で生きる』刊行トークショー
撮影=小林久井(近藤スタジオ)

「何が自分を満たすのか」に敏感であれ

ファッションやビューティーというそれぞれの分野で自分の道を、自分の手で開拓してきたふたり。いくつになっても変わらないことは、自分軸をもつことの重要さだという。

【原由美子さん(以下、原)】「よく考えると地球上で洋服を纏うのは人間だけ。ファッションとは自己表現の手段でもあり、日々何を着るかはすごく大切。だけど日本人は、服が目立った印象になると『おしゃれにかまけて』などとネガティブなイメージがもたれることも少なくない。特に男性は、過度なおしゃれはビジネス面でマイナスに働くこともあると聞いたことがあります。

だからこそ私は、本当の意味で美しい人、かっこいい人を増やしていきたいという思いがあります。たとえば今日の川邉さんのスタイリング、すごく素敵です。華やかなプリントワンピースを自由に楽しむような、そんな同世代が増えるといいなと思っています」

(左)ファッションディレクターの原由美子さん。(右)トータルビューティクリエイターの川邉サチコさん。
撮影=小林久井(近藤スタジオ)
(左)ファッションディレクターの原由美子さん。(右)トータルビューティークリエイターの川邉サチコさん。

【川邉サチコさん(以下、川邉)】「その思いは私も一緒。このワンピースは“ドリス ヴァン ノッテン”。会場が落ち着いたトーンだから華やかなほうがいいと思ったのです。ちなみに本来の私はスタンダードなアイテムが好き。今日原さんが着ているような、シンプルなジャケットは特に好みなんです。20年前に買ったものをいまだに着ているので、娘には『生地が傷んでいるし、もうやめたら?』と言われることもありますが(笑)、好きなものは好き。今回の本にも書きましたが、それこそが“私基準”のおしゃれだと思うのです」