生涯現役のふたりが実践する運動とは
【川邉】「私は、“美”をテーマにさまざまな人と触れ合ってきましたが、それを踏まえたうえで実感しているのが『美とは健康的な肉体に宿る』ということです。私が80代でも仕事ができているのは、健康のための日々のルーティンを大切にしているからだと思っています。
たとえば歯を磨くときには、必ずつま先立ちをして、かかとの上げ下ろしをしています。これが脳の活性化につながるのだそう。頭皮の健康と髪のツヤ出しのために、動物性の上質なブラシを使ったブラッシングも欠かしません。また、暮らしのなかに鏡を取り入れるのもおすすめ。人は人の目によって磨かれていくものだからこそ、自分を見つめるための鏡をいろんな場所に置いています。
特別なことというよりは、わりと日々やり続ける地味なことのほうが多いですね。そうやって『日々整える』ことが、自分を極めていく最高の方法だと思っています」
【原】「私の場合、ずっと続けているのが水泳。忙しいなかでも通い続けて、クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、そしてバタフライまで4種目を泳げるようになりました。水泳は全身運動だから本当に心地がいい。泳げない人は水の中を歩くだけでも運動になるのでおすすめです」
【川邉】「私も40代からスイミングに通い続けています。泳いでいるときはもちろん、帰り道も好き。充足感に包まれて、幸せな気持ちになります。何が自分を満たすのかを知っておくのは大切ですね。
そのためには家にこもってしまうのではなく、外に出ること。フランス人って夕方になるとふらっと外に出て、イスを出してきて、ワインを飲みながらおしゃべりを楽しんでいるでしょう。そういう些細なことでいい。人生を豊かにする小さなメソッドを知っていることが、生涯現役の人生につながるのだと思います」
80代でなお活躍し続けるふたりから語られたのは、自分を整える日々の行動とアップデートを欠かさない精神。生涯現役を見据える人が多い今、改めて私たちが学ぶことは多い。
日本のファッションの成長を「意義ある裏方」として支え続けたふたり。時代とともにさまざまな仕事が生まれているが、それがひとつの職業として確立される過程には、人並みならぬ情熱を注ぐ人物が各所にいたことを忘れてはならない。時を超えて、その時どきの熱量を感じることは、自分の今と未来を見つめるいい機会でもあると言えそうだ。
川邉サチコさんの初の自伝的作品『87歳。“私基準”で生きる』では、川邉さんの仕事の原点から、今を生きる女性たちへの熱いメッセージが満載。生き方の正解はひとつではないと、幅広い世代の人の背中を押してくれる内容となっている。



