世界に後れを取り続ける日本企業の“閉塞感”の原因はいったい何か。人材マネジメントに詳しいグローネクサス代表の小出翔さんは「日本企業には“組織に馴染む人”ばかり優遇する傾向が今なお強い。社内政治の巧拙より、“隠れた才能”や“スキル”を言語化し、可視化することを優先できない組織はこれからの競争には勝てない」という――。(第2回/全5回)

※本稿は、小出翔『誰もが成長し活躍する会社のしくみ』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

プロサッカーチームの組織マネジメント

いま人事(HR)の世界で注目が高まっている「スキルベース組織」とは何か。これをプロサッカーチームのマネジメントにたとえて考えてみましょう。

あなたがプロサッカーチームの監督だと想像してみてください。チームの目標は明確です。「試合に勝ち、リーグで優勝すること」。これは、企業でいえば「業績を上げ、ビジョンを達成すること」に相当します。

目標を達成するために、監督であるあなたは何を基準に選手を起用するでしょうか。

「彼は入団10年目のベテランだから」という理由だけで、重要なポジションを任せるでしょうか(年功序列のメンバーシップ型的発想)。あるいは、「彼はフォワード(FW)として採用したから、何があってもFWでしか起用しない」と頑なに決めてかかるでしょうか(ジョブ型的発想)。

狭いロッカーの通路にうつむいて座り込んでいる男性
写真=iStock.com/mediaphotos
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サッカーの監督が個人の「スキル」に着目する理由

優れたサッカーチーム監督は、まず選手一人ひとりが持つ「スキル」に着目します。「ドリブル突破力が高い」「正確な長距離パスが出せる」「チームを鼓舞するリーダーシップに長けている」といった具合に、選手個々の能力を詳細に把握するはずです。

そして対戦相手の特徴(外部環境)や、自チームが目指す戦術(戦略)に合わせて、その試合に必要なスキルを持った選手を組み合わせ、最適なフォーメーション(組織構造)を設計します。

試合が始まれば、状況は刻一刻と変化します。変化に応じて、監督は選手の配置や役割を柔軟に変更します。現代のサッカーでは、「FWだから守備はしなくていい」という考えは通用しません。状況に応じて複数の役割をこなせる、多様なスキルを持つ選手が重宝されます。

強いチームは選手の評価も明確です。チームの勝利に貢献した「スキル」と「パフォーマンス」が正当に評価され、報酬に反映される。だからこそ選手は、自らのスキルを磨くことに集中し、成長を続けることができます。

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