そこまでは何となく予想はついていました。ところが、次の分析結果に、私は驚愕しました。

「家庭で2時間勉強していても、スマホを長時間使っていると、まったく勉強していない子どもより悪い成績になってしまう」。これは予想外でした。

スマホ利用は「1時間未満」にすべき

私たちはその後も調査を続け、次のようなことも判明しました。

・スマホを1日1時間以上使い続けた子どもは、どんどん成績が下がった
・もともと成績がよかった子どもも、スマホを1日1時間以上使うと成績が大きく下がった
・スマホを1日1時間未満に抑えた、もしくは使用をやめた子どもは成績が向上した

現代の中学生にとって、スマホを持たない、あるいは触らないようにするのは現実的な話ではないかもしれません。その場合、ターニングポイントとなる「1時間以上の使用」を超えないようにすることが重要です。

脳への悪影響について子どもによくよく話して聞かせたうえで、ご家族でスマホ使用に関するルールを決めることを強くおすすめします。

勉強中にスマホは使わない

昨今、厚生労働省が教育分野におけるICT環境の整備、活用を推進しています。そのため学校では、生徒1人に1台ずつ端末が渡され、いわゆるタブレット学習が推進されています。

私は、この動きについては「もっと慎重であるべき」と考えています。

理由の1つ目は、インターネット端末の使用による、子どもたちの認知機能への悪影響です。

私は、子どもたちが言葉の意味を調べるときに、辞書を使った場合とスマホでウィキペディアを使った場合の脳血流の違いについて、調べたことがあります。

その結果、辞書を使った場合、被験者の脳の前頭前野は血流が増加したのに対し、スマホの場合は血流が減少し、脳の働きに抑制がかかることが確認されました。

つまり、本来、脳の大好物である学習をしたとしても、スマホを用いると脳はやる気を失って、その働きを低下させてしまうのです。