質問③ 佐藤優樹くん
どうしたら大きな夢をもてますか?
出雲さんはとても大きな夢をかなえましたが、私はテレビ局で働きたいな、という程度の夢しかもてません。だから、大学で何を学ぶのかもなかなか決めることができません。どうしたら出雲さんのように大きな夢をもつことができますか?
【A】今、興味のあることを全力で頑張ればいい。
テレビ局で働きたいという夢、すてきじゃないですか。私が皆さんと同じくらいの頃は、国連で働きたかったんです。といっても、「世界の貧困をなくすぞ!」とかそういう理由ではありません。当時の私は、どうしたら海外に行けるかということばかり考えていました。「国連に入ったら海外勤務になる。よし、海外に行けるぞ」と、それだけの理由です。
それで、大学生になってパスポートをとったとき、国連に採用してもらうためには、普通の海外旅行じゃなくて、一般の人があまり行かないような国に行っておいたほうが有利なんじゃないかと思ったんですね。それも、バングラデシュに行った理由の一つです。
ただ、その狙いは、バングラデシュに行ったら全部忘れて、その後はずっとユーグレナ一筋です。
大学で何を学べばいいのかわからないということですが、あまり心配しなくてもいいと思います。「これがやりたい」と決めて大学に入っても、途中で変わるというのはよくあることです。私のように。
だから今、興味をもっていることをやればいいと思います。興味をもっているときが一番伸びますから。
テレビ局に入りたいという目標があるのなら、それに向かってできることは全部やればいい。いろんなことをやっているうちに、衝撃的な出合いがあって別の夢が生まれ、結果的にテレビ局には入らないかもしれない。それはそれでいいじゃないですか。今度はその新しい夢に向かって全力で頑張ればいいんです。私にとってのユーグレナを超えるような、素晴らしいチャンスが必ず待っているので、安心してください。
質問④ 堀合英晴くん 松村燈太くん
銀行に就職した理由は何ですか?
大学卒業後に銀行に就職したのは、グラミン銀行での経験にプラスして、起業するための情報が欲しかったのでしょうか?
【A】正直に言います。研究費のためです
お二人の質問は共通しているので一緒にお答えします。
二人とも、頭が良すぎて(笑)、深読みしすぎています。正直に言います。銀行に就職したのは研究費がなかったからです。
日本では、国家計画として1980年代からユーグレナの研究が行われていますが、お金ばかりかかってまったく成果が出ていませんでした。私もお金が足りない。研究費を補助してもらうために文部科学省に申請の書類を書きまくって提出していました。
すると今度は、肝心の研究をするための時間がなくなる。お金もなくて時間もなくて、どうしようもなくて銀行に就職しました。銀行なら、会社員としてお給料をもらえるし、お金の勉強ができるじゃないかと思って。銀行での仕事は楽しかったけど、それは「バングラデシュの栄養問題を解決する」という夢から少し逃げていることでもあった。それで心を決めて、研究に戻りました。
今の質問が、答えるのに一番恥ずかしかった(笑)。でも、グラミン銀行に感動したからとか、新しい情報を得るためにという答え、かっこいいですね。もし今度、私が銀行に就職した理由をそう語っていても、クレームはいれないでくださいね。