ブラック企業で働く人はどんな生活を送っているのか。デザイナー兼YouTuberの玄田小鉄さんは「デザインの仕事は時間で測ることが難しく、費用対効果を度外視して働きつづける。上司の命令は絶対で、3カ月間ほど週6回の泊まり込み勤務をしたこともある」という――。
※本稿は、玄田小鉄『ブラック企業で生き抜く社畜を見守る本』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
手取り16万円、ボーナスは1度ももらっていない
僕が入社したデザイン事務所は、相当なブラック企業です。
入社1日目から終電まで残って仕事をして、雑務も大量にありました。実は面接時に事務所の社長から相当念押しされていました。
「毎日残業だらけだけど大丈夫か? 徹夜もあるし、泊まり込みでの仕事もあるぞ」と、散々言われました。
ただ、さすがに労働基準法を無視した働き方になるとは予想していませんでした。本当に毎日終電間際まで残業で、事務所に泊まり込み勤務も平気ですることになっていて、入社当初の自分はかなり驚きました。
これが社会か……。思い知らされたと同時に、自分は落ちるとこまで落ちたんだなと思いました。
さらに給料は20万円(手取り16万円)、ボーナスは年2回支給という話だったのに1度ももらっていないです。ボーナスに関しては業績不振なので仕方ないですが、社長から何の説明もないので、事務所の先輩たちもみんな納得できていない感じでした。
ただこんな地獄のような事務所でも、行くあてのない僕を拾ってくれたので、感謝はしています。
最初の数年は感謝の気持ちがあったのでどれだけ過酷な業務にも真摯な気持ちで打ち込んでいました。しかし薄給激務がつづくと段々と耐えきれなくなってきたので、息抜きも兼ねてYouTubeで広告業界のブラック企業の実態を配信することにしました。
いつか事務所の人たちにバレないかとビクビクしていますが、意外と大丈夫そうなのでこれからも活動はつづけることができそうです。