私の書斎の本棚には、30年以上も前に読んだ本も、ずっと置かれている。手に取ってページを開いてみると、随所に傍線が引いてあり、書き込みもある。繰り返し読み、おそらく大切に思って捨てられずにいたに違いない。

損保ジャパン社長
櫻田謙悟

1956年、東京都生まれ。都立石神井高校から早稲田大学商学部卒。78年安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)入社。2000年統合企画部長、05年執行役員金融法人部長、07年取締役を経て10年社長に就任。

そんな一冊にケインズの『雇用、利子および貨幣の一般理論』がある。この本の原書が大学のゼミの教材になった。指導教授のもと、学生たちが輪読して翻訳・解釈し、意見を述べ合っていた。とにかく難しく、参考に日本語版を買って読んだのだが、それでも理解には程遠かった。