岸田首相だから実現した大きな成果
岸田首相の選挙区は広島一区、つまり広島記念公園からG7会場となったエリアを包み込む地域を地元としており、そこで過去に10回の当選を果たしている。広島の意味をめぐって、何が重要であり、実は異なる立場もありうるということについて、誰よりも知る人物であると言ってよいだろう。
「公正で永続的な平和」を目指す「復興の象徴」としての広島で、「法の支配に基づく国際秩序の堅持」を中心議題とするG7サミットを開く試みは、岸田首相という1人の具体的な存在をもって、初めて可能になったとも言える。「即時無条件停戦」論をはじめとするさまざまな異論も存在する中で、岸田首相でなければ、これほど明快な方針を打ち出すことはできなかったかもしれない。
広島とは何か、という問いは、日本とは何か、という問いとも深く結びついている。その解釈をめぐる葛藤は、今後も終わることはないだろう。たとえそうだとしても、今回のG7サミットが持った衝撃は、葛藤を抱える日本人の心の中にも、深く、長く、影響を及ぼしていくことになるだろう。