広島市長の説明に聞き入ったゼレンスキー

ゼレンスキー大統領は、岸田首相と言葉を交わしながら、2人で並んで慰霊碑に献花をした後、松井一實・広島市長の説明に熱心に聞き入った。報道によれば、松井市長は、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と記された碑文などについて、説明をしたという。ゼレンスキー大統領は、広島の復興の精神に、強い関心を抱いていたのだ。

広島駅行きの広電
写真=iStock.com/TommL
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当然だろう。復興は、段階的には戦争中ですら始まっている。戦争が終わったときには、大々的な復興のプロセスを主導しなければならない。壊滅的な打撃を受けながら、不死鳥のごとく立ち直った広島の復興の歴史に、関心を抱かないはずはない。

ウクライナ復興に強力に関与するというG7の決意表明

G7は、初日に発表した「ウクライナに関するG7首脳声明」において、「ウクライナの復旧・復興に向けた支援」も強調し、「ウクライナが必要とする経済支援を確保することへの我々の強いコミットメントを再確認」したうえで、より具体的な領域でのウクライナの復興努力を支援していくことを宣言した。

もし広島が「復興の象徴」であるならば、G7はウクライナ復興に強力に関与するという決意表明を、世界で最もふさわしい場所で行ったことになる。その決意は、1列に並んで献花するG7首脳の結束を通じて、さらに広島平和記念公園を並んで歩く、議長国・日本の首相と復興の当事者であるウクライナ大統領の2人のパートナーシップを通じて、示された。

もし広島が「核廃絶」の象徴でしかないとすれば、どこまで核廃絶について語ったかということだけが評価基準になる。戦禍からの復興に関する議題などは、評価対象にならない。だが今回、議長国・日本は、他のG7メンバーと共に、いわば「復興の象徴」としての広島の意味を強調し、象徴的な画像を通じて、それを示した。