5月6日に行われるイギリスの新国王戴冠式に、秋篠宮ご夫妻が参列されることになった。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんは「天皇・皇后両陛下や敬宮としのみや(愛子内親王)殿下ではなく、秋篠宮・同妃両殿下が参列されることへの反発が強まっている。これは、国民の気持ちと制度の間に大きなギャップがあることの表れではないか」という――。
天皇誕生日の一般参賀で手を振られる天皇、皇后両陛下と長女愛子さま、秋篠宮ご夫妻と次女佳子さま=2023年2月23日、皇居
写真=時事通信フォト
天皇誕生日の一般参賀で手を振られる天皇、皇后両陛下と長女愛子さま、秋篠宮ご夫妻と次女佳子さま=2023年2月23日、皇居

「秋篠宮ご夫妻ご参列」に予想以上の逆風

英国の新国王、チャールズ3世の戴冠式が5月6日に予定されている。わが国からは秋篠宮・同妃両殿下が参列されることが、去る4月11日に閣議了解という形で正式に決まった。

しかし、両殿下が戴冠式に参列されることに対しては、予想以上に反発が強いようだ。すでに3月13日に、宮内庁が戴冠式へのご参列は天皇・皇后両陛下ではなく、両殿下になる予定であることを発表した当時から、強い違和感や批判的な意見が表明されていた。そうした逆風は、この度、正式決定を見ても一向におさまる様子がない。むしろ、さらに強まっている気配すらある。

これは一体、どうしたことか。大切な英国王の戴冠式を間近にひかえ、宮内庁も内閣も事態の思わぬ展開に戸惑っているのではないだろうか。

秋篠宮家については、ご長女、眞子さまと小室圭氏とのご結婚をめぐる経緯が、極めて残念かつ異例なものとなってしまって以来、さまざまな揣摩しま臆測が語られ、それがしばしばバッシングにつながるという現象が、これまで見られる。

しかし今回の場合は、それを上回る広がりを感じさせる。その背景は何か。私なりの見通しを示しておこう。

宮内庁が挙げた2つの理由

まず、英国側からは戴冠式への参列について、国家元首かその代理としてふさわしい人物という招待がなされている。わが国において事実上、国家元首の地位にあられるのは、もちろん天皇陛下だ。ならば、天皇・皇后両陛下がお出ましになるのが当たり前と受け止められるだろう。

しかし、宮内庁は両陛下ではなく、秋篠宮・同妃両殿下がお出ましになる旨を、早々と公表した。その理由について、宮内庁は以下の2点を挙げている。

①外国王室の戴冠式には従来から皇太子クラスが参列し、天皇陛下ご本人が出席された例はない。
②天皇・皇后両陛下は生前のエリザベス女王から国賓として招待を受けておられたが、コロナ禍のために延期されているという事情があり、そちらを早期に実現する方向である。

おそらく宮内庁としては、これら2点の理由を説明すれば、比較的スムーズに国民の理解を得られると見込んでいたのではないだろうか。