主力戦車T-72のおよそ半数を失った

ロシアのウクライナ侵攻が始まって1年が経過した。この間にロシアは保有する主力戦車の最大半数を失った、と海外情報機関が分析結果を公表している。

英シンクタンクの国際戦略研究所など複数の海外機関は、ロシアが主力戦車T-72のおよそ半数を失ったとするリポートを公開した。

米ワシントン・ポスト紙は同機関によるリポートを取り上げ、もともと2000両あったロシアの主力戦車T-72のうち、約50%が失われたと報じている。同紙はT-72を「ロシアの戦車の中で圧倒的に多く使われている戦車」だと指摘する。

国際戦略研究所の分析によると、これ以外の型式を含めても、戦車全体の40%近くをロシアが喪失した可能性があるという。同研究所はリポートを通じ、開戦からの過去1年間でロシアの兵器庫が「著しく」変化したと指摘している。

ウクライナ北東部ハリコフ近郊の村で、破壊されたロシア軍の戦車を見る住民(=2022年05月15日、ウクライナ)
写真=AFP/時事通信フォト
ウクライナ北東部ハリコフ近郊の村で、破壊されたロシア軍の戦車を見る住民(=2022年05月15日、ウクライナ)

調査報道グループの分析も同様の結果に

英経済誌のエコノミストは、調査報道グループ「ベリングキャット」から派生したオープンソースの防衛分析サイト「オリックス」による分析を基に、ロシア側が1700両の損失を記録したと報じた。ウクライナ発表の3250両には及ばないが、それでも目を見張る数字だ。

オリックスは、ネット上などに公開されている写真や動画を基に情勢を分析するオシント(OSINT:オープンソース・インテリジェンス)の手法を活用し、昨年2月24日の侵攻以来、ウクライナで確認されたロシア軍の損失を分析している。

米CNNは同サイトによるリポートを取り上げ、少なくとも1000両の損失が明確に確認されたと報じている。このほか、ロシア戦車544両がウクライナに鹵獲ろかくされ、79両が部分的に損傷し、65両が放棄された。

同サイトに寄稿する軍事アナリストのヤクブ・ヤノフスキ氏は、この数はオリックスが映像から確認できたものだけを計上したものであり、実際の損失は2000両に近いとの推察を明らかにしている。